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【伝統芸能】

<新かぶき彩時記>弁慶にロマンスあり? 勧進帳「人目の関」

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 弁慶にはその昔、彼女がいた? 「勧進帳」は、源義経を警護する弁慶らの一行が関所を突破する物語。伴奏には数種の音楽が盛り込まれ、音の変化に富んだ人気演目です。たとえば関所の責任者・富樫が、通行を許した弁慶に酒をふるまう後半場面。なみなみとつがれた酒を豪快に飲み干す弁慶のユーモラスなしぐさに、つい目がいきますが、実はここ一番の長唄の「聴かせどころ」です。

 その詞章から「人目の関」と呼ばれる部分で、半太夫(はんだゆう)がかりという、しっとりとした唄いぶりですが、前後の詞章にも注目。

 〜一度まみえし女さえ 迷いの道の関越えて 今またここに越えかぬる。人目の関のやるせなや〜

 意味は「一度きりの契りを結んだ女性にさえ心が残るのに、またもやこの関所で人目を気にして越えられず、煩悩に迷っているとは、つらいことだなあ」

 優美な曲調にふさわしい色気がありますが、能の原曲にこのくだりはありません。そこで連想されるのが「弁慶上使(じょうし)」という別の歌舞伎作品。弁慶は若い頃、一度だけ添い寝した女性がいたという伝説をふまえたもので、おわさという女性と彼女が身ごもった娘が成長し、弁慶と再会するという内容。いかめしい弁慶に、ちょっぴり色気を添えるセンスは歌舞伎共通です。 (イラストレーター・辻和子)

 

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