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【伝統芸能】

<評>襲名の織太夫、大奮闘 国立劇場「二月文楽」

 今月は三部立てで、二部は昭和の名人、八代目竹本綱太夫の五十回忌追善。その綱太夫の前名を継ぎ、豊竹咲甫太夫は「六代目竹本織太夫」となり、家の芸「摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)」で披露している。

 舞台では、師の豊竹咲太夫が語る「猶(なお)いや増(ま)さる恋の渕(ふち)」などの名文句に続き、織太夫は嫉妬の乱行やそして「オイヤイ〜」と慟哭(どうこく)する場面などを丁寧に語って盛り上げる。大奮闘。将来ともに美声を大切にしてもらいたい。

 人形は、玉手を遣(つか)う桐竹勘十郎は申し分なく結構。「合邦」の吉田和生とその女房の桐竹勘寿も素晴らしい。久しぶりに堪能した。「花競四季寿(はなくらべしきのことぶき)」の万歳と鷺娘(さぎむすめ)、それに追善襲名の口上もある。

 一部の「心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん)」と三部の「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」はともに近松門左衛門の作。その作品は大半が義太夫らしい叙情的なフシ(旋律がある謡)が少ないため、イキが抜けない。そうした意味で、肩が張って面白くない。「宵庚申」は、嫁いびりが原因で夫婦が心中する。また「油地獄」は、金遣いの荒い放蕩(ほうとう)者が主人公。人形をしっかり遣えば遣うほど、義太夫としての面白みが減るのは不思議だ。とはいえ河内屋太兵衛の吉田幸助、宵庚申で八百屋半兵衛を遣う吉田玉男、二人の演技には余韻が残る。二十六日まで。 (倉田喜弘=芸能史家)

 

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