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【伝統芸能】

最古の能に新風を 金春流八十一世宗家・金春憲和

 能楽シテ方金春(こんぱる)流の金春憲和(のりかず)(36)が昨年4月に八十一世宗家を継ぎ、まもなく1年を迎える。能楽界最古、約1400年の歴史を誇り、古式ゆかしい芸風を重んじる同流にあって、その双肩に伝統の重みがのしかかる。「流儀から『名人』と呼ばれる逸材を出していきたい」と語る憲和だが、5月4日には自らの「宗家継承披露能」が東京・宝生能楽堂で開催される。若き宗家が試される場でもある。 (藤浪繁雄)

 金春流は聖徳太子の側近、秦河勝(はだのこうかつ)が始祖とされる。舞台で主役をつとめる「シテ方」五流の中でも、舞台の様式にいにしえの薫りが残る。奈良を中心に活動し、豊臣秀吉らに支援され隆盛を誇った。その後、憲和の祖父で七十九世宗家の信高(のぶたか)(一九二〇〜二〇一〇年)が一九五六年に東京に拠点を移した。

 憲和は昨春、先代の父安明(65)が能楽の学術的研究に力を注ぐため一線を退く意向を示し、宗家を継いだ。この一年を「流儀をまとめるため、人の動きに目を光らせる必要を感じてきた」と言う。百人以上のプロ能楽師が所属する同流は、実力者や個性派のベテラン、中堅も多い。「金春流の型か見定めた上で、その芸をそれぞれの家で伝承し、個々の能楽師が培った技を守ってほしい」と構える。

 六歳で初舞台を踏んだ憲和は「能は日常の一部であり、父から学んだことを披露してきた。特に古式だと思っていなかった」と笑うが、最近、流派の重鎮から「宗家の舞や謡には、いにしえの大和のにおいがする」と言われ「うれしかった」と素直に喜ぶ。その上で「現代演劇など異分野とも共演し、能楽の裾野を広げていきたい」と意気込む。

 「宗家継承披露」の舞台では、祝いの儀式などで上演される「翁(おきな)」を「十二月往来(じゅうにつきおうらい)」という特殊な演出で披露する。翁が三人登場し、憲和はシテの翁を演じる。

 公演後半の仕舞(しまい)では、観世、宝生、金剛、喜多のシテ方流派のトップが名を連ね祝賀に花を添える。最後は、祖父信高が唯一手掛けた新作能「佐渡」を十数年ぶりに上演。シテは父安明がつとめ、憲和の長女初音(11)も出演する。

 宗家継承披露能は午後一時開演。実行委員会=(電)070・6452・8637。

 

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