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【伝統芸能】

<お道具箱 万華鏡> 文楽太夫の見台 さりげなく豪華細工

20年ぶりに「蔵出し」した白木の見台

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 文楽の道具というと、まず人形かと思うが、義太夫節を語る太夫が使う見台(けんだい)も、なかなか面白い。

 見台とは、台本にあたる床本(ゆかほん)を載せるための譜面台。これがよく見ると芸術品のように凝った道具なのだ。見台は太夫の私物。演目の内容に合わせて太夫が選び、舞台に出している。数台を持つのが一般的らしいが、百台近くを所蔵する猛者がいる。豊竹(とよたけ)呂勢太夫(ろせたゆう)さんだ。大阪市内の自宅に貴重品がひしめいていると聞き、訪れた。

 初めて見台を持ったのは約三十年前。「自分の初舞台のために骨董(こっとう)市で購入した」という。それが収集の出発点。学究肌の呂勢太夫さんは独自の収集ルートを構築し、強固なコレクションを形成していった。

 少し昔の大阪には、素人の義太夫愛好者が多く、競うように凝った見台を作った時代があったという。それが今、骨董市場に流れている。人々の義太夫愛が詰まった見台。それに出会うと、呂勢太夫さんは手元に置かずにはいられないのだ。

 さて、見台はどう鑑賞すればいいのか。いくつかポイントを教えてもらった。

房をつけるための金具には、紋が彫り込まれている

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 黒の漆塗りに紋が描かれ、白い房がつく。これが基本形。少し豪華なものには、蒔絵(まきえ)で絵が描かれる。この図案を演目の内容と照らし合わせて想像を巡らせるのも楽しい。また、房の色も注目すると面白く、女性が活躍する演目では赤系を用いることが多い。

 呂勢太夫さんお気に入りの白木の見台もご披露いただいた。一見地味だが、そばで見ると、貝殻を文様に切ってはめ込んだ螺鈿(らでん)細工が見事で、通が好みそうな逸品。切腹のある場面や追善公演などで使うという。

 文楽公演で見台を観察していると、太夫により親しみがわいてくる。ぜひ、見台もご注目を。

 (伝統芸能の道具ラボ主宰・田村民子)

 

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