東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 放送芸能 > 伝統芸能一覧 > 記事

ここから本文

【伝統芸能】

菊五郎 色気と凄み二刀流 弁天小僧、絞って挑む 

 東京・歌舞伎座で毎年5月に開かれる恒例の「団菊祭」が、今年は2013年に死去した十二代目市川団十郎の五年祭として開催される。尾上菊五郎が「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」で当たり役の盗賊、弁天小僧菊之助をつとめ、十二代目団十郎の長男海老蔵が日本駄右衛門(にっぽんだえもん)を初めて演じる。十二代目の日本駄右衛門で何度も共演してきた菊五郎は「寂しい思いが募っていたので、大変楽しみにしている」と語る。 (安田信博)

 今年は二〜二十六日の開催。夜の部(午後四時三十分開演)で上演される「弁天娘−」は「白浪五人男」の題名でも知られる。幕末から明治期にかけ活躍した名優五代目菊五郎が河竹黙阿弥に作らせ、十九歳で初演した。以来、音羽屋(尾上菊五郎家)に代々受け継がれてきた“お家芸”である。

 当代の七代目菊五郎は一九六五年に二十二歳で初演し、今回は歌舞伎座再開場のこけら落とし公演以来五年ぶり、本興行に限っても通算三十一回目の弁天小僧を演じる。金をだまし取るためにつつましい武家の息女になりすますが、男とばれて開き直る場面が大きな見せ場で「知らざぁ言って聞かせやしょう」の七五調の名せりふで知られる。

 色気と凄(すご)み。菊五郎は「今はやりの究極の二刀流です」と語り、毎回、体重を七〜八キロ落として舞台に臨むという。「まずあぐらをちゃんとかけないと。(着物の)帯も苦しいんですよ、前かがみになった時、太っていると。立ち回りもありますしね」

 今回は呉服屋「浜松屋」の場から「土橋」までを通しで上演する。菊五郎は、首領の日本駄右衛門ら五人が勢ぞろいし、番傘をかざして朗々とした名調子で次々に名乗りを上げる「稲瀬川」の場などを引き合いに「作品の最大の魅力は視覚美。お客さんがきれいだと感じて見てくだされば成功」と語る。

 歴代俳優で最も数多く弁天小僧を演じてきたが、菊五郎は「まだまだ完成品じゃありません」。今でも演じている最中に「そんなんじゃあだめだ、という(先人たちの)声が聞こえたような気がしてぞくっとする時がある」と、さらなる精進を明かした。

 五人男のうち残りは、南郷力丸(なんごうりきまる)をベテラン市川左団次がつとめるほか、赤星十三郎(あかぼしじゅうざぶろう)に菊五郎の長男菊之助、忠信利平(ただのぶりへい)に尾上松緑と若手を起用。菊五郎の孫で五歳の寺嶋眞秀(てらじままほろ)(長女で女優の寺島しのぶの長男)が丁稚(でっち)長松役で出演する。「絶対に大事にしていかなければならない演目。舞台に出て見たもの、感じたことを覚えておいてもらいたい」

 「団菊祭」夜の部は他に「鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)」「喜撰(きせん)」。昼の部(午前十一時開演)は「雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)」と「女伊達(おんなだて)」を上演。チケットホン松竹=(電)03・6745・0888。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報