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【伝統芸能】

<らくご最前線>林家たい平 積極的な姿勢は健在

 四月八日、横浜にぎわい座の「天下たい平」に足を運んだ。林家たい平が二〇〇四年から隔月で開いている独演会だ。

 たい平はこの会で毎回ネタおろしを披露する。この日は「しじみ売り」。義賊・鼠小僧(ねずみこぞう)次郎吉を主役とする講談の一部を人情噺(ばなし)にしたもので、古今亭志ん生が得意とした。たい平の「しじみ売り」も志ん生の系統だ。

 病床の姉と母を養うために、船宿にしじみを売りに来た少年。居合わせた次郎吉がわけを聞くと、少年は三年前に姉に起きた悲劇を話し始めた。

 売れっ子の芸者だった姉は勘当された若旦那と一緒になって江戸にいられなくなり、二人で旅に出た。箱根の宿屋でイカサマ師のわなにはまり、借金のかたに姉が連れ去られそうになるが、見知らぬ男が助けてくれた。

 だが、その男が旅費にと恵んでくれた三十両は大名屋敷から盗まれた金で、小判に刻印が打ってあった。それを使おうとしてお縄になった若旦那は、男の恩義に報いるため、金の出所を明かさず三年間牢屋(ろうや)の中……。

 三十両を渡した男は次郎吉だった。志ん生の「しじみ売り」では、次郎吉は彼らを救うために手下を身代わりにして自首させる。だが、たい平は次郎吉が名乗って出ようとするのを弟分が押しとどめ、自ら身代わりを志願する演出に変えた。この工夫はすばらしい。

 二席目は、去年ここでネタおろししてから全国を回るうちに激変したという「替(か)わり目(め)」。時代設定は現代、酔っぱらった亭主がグダグダしゃべり続ける内容は時事ネタ満載、爆笑の連続だ。

 これほどの人気者が、今なおホームグラウンドでの「隔月のネタおろし」を続けているのがうれしい。「替わり目」に見られる「ネタを磨いて自分のものにする」姿勢も見事。現在五十三歳、まだまだアグレッシブだ。 (広瀬和生=落語評論家)

 

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