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【伝統芸能】

<新かぶき彩時記>髪結新三と初ガツオ 初夏の季節感演出

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 「目には青葉 山ほととぎす 初鰹(がつお)」。初夏を代表する句を地でいく芝居が「髪結新三(かみゆいしんざ)」。

 主人公の新三は、粋がったワルの髪結(美容師)です。得意先の娘を身代金目当てに誘拐し、自分の長屋に監禁した新三は、悪だくみの成功を確信して上機嫌。そこに聞こえてくるのがカツオ売りの声。江戸当時、初夏に出回る初ガツオは、大卒の初任給に近いくらいの法外な値がつくこともあり、出回り始めは高級料亭などが買い上げました。江戸っ子の初物好きに加えて「勝つ」という縁起かつぎもあって人気となったという説も。本作のカツオ売りの呼び声も「かっつお!かっつお!」と、威勢が良いのが印象的です。

 新三はカツオ一本を三分という値段で買います。それを見ていた長屋の住人が驚くと「カツオもずいぶん安くなりやした」と答える新三。実は足の早いカツオは、日ごとに安くなっていったのです。三分は今の貨幣価値で数万円くらいでしょうか。それでも長屋住まいの新三にとっては、本来縁のないような高級品に変わりはなく、その物言いからは見えっ張りな性格が透けて見えるようです。

 結局新三は、娘を奪還しにやって来た家主に言いまかされ、カツオも半分取られてしまいますが、初夏の季節感とともに江戸っ子の「カツオ愛」が伝わってくる芝居です。 (イラストレーター・辻和子)

 

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