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【伝統芸能】

<評>国立劇場「五月文楽公演」 五代目玉助の今後に期待

 懐かしい「吉田玉助」の名前が復活した。その昔、豪快な熊谷直実(一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき))や武智光秀(絵本太功記)の役で、三代目が人形の素晴らしさを見せてくれたことを思い出す。

 今回、孫の幸助が五代目玉助を襲名した。第一部で「本朝(ほんちょう)廿四孝(にじゅうしこう)」の山本勘助役をつとめた。早世した亡父に四代目玉助を追贈した。健闘を祈る。

 勘助住家(すみか)の段は、太夫と三味線がそれぞれ、前が豊竹呂太夫と鶴沢清介。後が豊竹呂勢太夫と鶴沢清治。全体に結構だが、とりわけ呂太夫は口さばきがよく、呂勢太夫は迫力に勝る。

 続いて「義経千本桜」の道行。太夫と三味線が九人ずつ正面に並ぶため、セットが映えない。人形は、静御前が豊松清十郎、佐藤忠信が桐竹勘十郎。極め付きだ。

 第二部は久しぶりに「彦山権現(ひこさんごんげん)誓(ちかいの)助剣(すけだち)」の半通し。京極内匠(たくみ)は剣術師範の吉岡一味斎(いちみさい)を闇討ちにした。内匠は光秀の遺子である。小栗栖(おぐるす)という地名や、信長、秀吉の名前も変名で出る。さながら江戸時代の草双紙を読む楽しさだ。

 しっとりと落ち着くのは最後の毛谷村の段。長丁場を竹本千歳太夫と豊沢富助が締める。剣に生きる吉田和生のお園も、吉田玉男の六助もともに頼もしい。

 太夫の若手が伸びてきた。「須磨浦の段」では竹本小住太夫、「杉坂墓所の段」では豊竹靖太夫が好例である。うれしい限りだ。二十八日まで。 (倉田喜弘=芸能史家)

 

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