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【伝統芸能】

<新かぶき彩時記>「六歌仙容彩」の文屋 好色の公家ユーモラスに

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 色好みの公家の所作が面白い舞踊が「文屋」。小野小町をめぐる五人のセレブ歌人の色恋を描いた「六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)」の登場人物の一人で、本来は一人の演者で踊り分ける趣向ですが、単独で演じられることが多い作品です。安手の公家である文屋は喜劇役担当で、高僧の「喜撰」と並ぶくだけたキャラ。いずれも軽さが持ち味ですが、全体を通してのメイン部分である「喜撰」は屋外、「文屋」は屋内で踊る設定で味わいも違います。

 上品な外見とは裏はらの「エッチな俗っぽさ」に注目。宮中の歌会に、小町目当てに忍びこんだところを、官女たちに見とがめられる文屋。伴奏は遊び心と粋さが特徴の清元で、官女たちは全員立役(男役)から出る決まり。片思いの様子を「丸木橋を頼りない足取りで渡る」ようだと表現するのはいいとして、「寝かして猪牙(ちょき)(小型の舟)に柏(かしわ)餅」など、色っぽい詞章が並びます。原作には「頬は高天がはらの上」という詞章があり、女性に乗りかかる振りもあったそうですが、下品ということで明治期に九代目團十郎が「逢(あ)えばいつもの口車」に変更したとか。

 現在では、かぶった烏帽子(えぼし)を途中でとる坂東流と、とらない他流派が。烏帽子をとると、より砕けた感じで原作に近い雰囲気になるようです。俗っぽさをユーモラスに表現するさじ加減がキモです。 (イラストレーター・辻和子)

 

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