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【伝統芸能】

<中村雅之 和菓子の芸心>富樫の子孫が手作り 「勧進帳」(石川県野々市市・樫田冨嶽堂)

イラスト・中村鎭

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 歌舞伎「勧進帳」の舞台となった安宅の関があったのは現在の石川県小松市内だ。

 しかし「勧進帳」と名付けられた最中を出しているのは、同じ石川県内だが、微妙に地元ではない野々市(ののいち)市の店。便乗商法かと疑ったが、オッと失礼。これ以上ない立派な理由があった。店主が、あの富樫の子孫だというのだ。

 関守・富樫は、源義経を間に挟み、弁慶と渡り合う、もう一方の主役ともいえる存在だ。

 富樫のモデルとなったのは武将・富樫泰家。富樫家は、加賀国に根を張った武家の名門。室町時代に入ると守護大名にもなる。確かに、その館があったのは野々市市だ。

 「勧進帳」の最大の見せ場は、いうまでもなく、弁慶が白紙の巻物を勧進帳と偽って、堂々と読み上げる緊迫の場面だ。

 兄・頼朝の勘気に触れ、山伏に変装して、都から逃れた義経一行は、安宅の関で、富樫から厳しい詮議を受ける。

 東大寺再興の勧進のため諸国を行脚する山伏一行であると言い、趣旨を記した「勧進帳」を読み上げることにより、身の証しを立てようとする。

 巻物の形をして、ご丁寧に「勧進帳」と型押しまでされた皮の中身は、名産「加賀茶」を練り込んだ抹茶餡(あん)。そこには、一片だが、これも地元の「白山くるみ」がのっている。ほど良い甘さの餡にクルミの香ばしさが加わる。無類のクルミ菓子好きにとっては、嬉(うれ)しい限りだ。

 嬉しいことが、もう一つ。「手作り」「無添加」であること。ご先祖様の名に恥じない真(ま)っ直(す)ぐなお菓子だ。 (横浜能楽堂館長)

<樫田冨嶽堂> 石川県野々市市本町三の八の九。(電)076・248・0306。6個入り950円。

     ◇

 伝統芸能とゆかりの深い和菓子を横浜能楽堂の中村雅之館長が紹介します(随時掲載)。

石川県で2016年、上演された「勧進帳」。市川海老蔵(左)と中村獅童

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