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【伝統芸能】

国立能楽堂35歳 流派超えて能演者

 国立能楽堂(東京都渋谷区千駄ケ谷)は、九月で開場から三十五周年。来年二月まで記念公演が繰り広げられ、現代の能楽界を代表する演者たちがそろった豪華な顔触れで、能や狂言が上演される。演者たちの思いを聞いた。

 「開場した時の舞台のヒノキの良い香りを覚えています」と語るのは、観世流二十六世宗家の観世清和だ。

 室町時代から六百年以上続く舞台芸術・能楽。国立能楽堂は一九八三年、その保存と振興を図る目的で開場した。

 三十五周年記念は八月三十日の企画公演「素の魅力」に始まり、九月五日に、三十五年前の開場記念公演初日に上演したのと同じ「翁 松竹風流」を金剛流二十六世宗家の金剛永謹、狂言大蔵流の茂山千五郎、大蔵弥太郎、山本泰太郎らで上演。以後、月四、五回の公演を行う。

 十月は流儀や家にゆかりのある作品を中心とし、十一月以降は、さまざまな演出を見せる企画や、仕えていた武家がなくなった明治維新期の「苦難」を検証する企画などを展開。人間国宝や実力派が次々と出演する。

 観世清和は「国立能楽堂のコンセプトは普及。低料金で不特定多数の方に見ていただきたい」と話す。昨年、銀座に開場した観世能楽堂をはじめ各流の能楽堂もあるが、さまざまな流派から演者がそろう国立能楽堂に、観客の裾野を広げてほしいという。

 七月末には三十五周年関連で、室町時代の観阿弥、世阿弥、音阿弥と将軍の関係を考える国立能楽堂のシンポジウムに出演、音阿弥ゆかりの「善知鳥(うとう)」を舞囃子(まいばやし)で披露した。難しい伝統芸能と敬遠されがちだが、「国立能楽堂では歴史や背景とともに能楽を知ってもらう企画も組まれている。足を運んで能楽に親しんでほしい」と言う。記念公演では、「自然居士(じねんこじ)」(十月十九日)を演じる。

 上演が途絶えていた作品の復活や新作なども含め「国立能楽堂ではたくさん演じてきました」と人間国宝で狂言和泉流の野村万作。「他の流派の方の舞台も見せていただき、刺激になった」とも語る。

 世襲と関わりなく、未経験者を能楽師に育てる研修制度も国立能楽堂の役割。万作自身、研修修了生を抱え「わがグループの力になってくれています」と話し、制度の意義を感じているという。

 

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