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【ベルギー奇想の系譜展】

主要作品紹介(4)《包囲された象》 要塞が背に乗る大きさ

アラールト・デュハメール【版画に基づく】《包囲された象》 (C)Museum Plantin−Moretus/Prentenkabinet,Antwerp−UNESCO World Heritage

写真

 動物兵器としての象の使用で名高いのは、紀元前三世紀のハンニバルによるアルプス越えの逸話である。戦象の圧倒的な巨体は人々に恐怖心を植え付けた。本作でも、兵士を詰めた要塞(ようさい)が背中に乗るほどの大きさで象が描かれている。まさに奇想の巨象であるが、アントワープの人々は一五六三年に本物の象を見ていた。スペイン王から神聖ローマ皇帝への贈答品だった象が、街をパレードしたという記録が残っている。珍獣人気にあやかろうとする版画商の商魂は、現代にも通じるものがあるようだ。 (主任学芸員 伊藤伸子)

 

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