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【ベルギー奇想の系譜展】

ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで

 「ベルギー奇想の系譜」が15日からBunkamura ザ・ミュージアム(東京都渋谷区)で開催される。

 現在のベルギーとその周辺地域は、16世紀を代表するブリューゲルやバロックの巨匠ルーベンス、仮面の画家アンソール、イメージの魔術師マグリットなど多くの芸術家を生み出した。本展では総勢30人による約120点を通して、ユーモアあふれる不思議な世界を紹介する。

 「奇想」とは、普通では思いつかない奇抜な発想を意味する。この地域は古くから他国に囲まれ、常にその影響を受けてきた。500年にわたるベルギー美術の移り変わりを同ミュージアム上席学芸員の宮澤政男氏に解説してもらった。

◆15−17世紀 《奇想のルーツともいえるフランドル美術》

ヒエロニムス・ボス工房《トゥヌグダルスの幻視》 1490−1500年頃 油彩、板 ラサロ・ガルディアーノ財団 (C)Fundacion Lazaro Galdiano

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ピーテル・ブリューゲル(父)[原画]《聖アントニウスの誘惑》 1556年 エングレーヴィング、紙 プランタン=モレトゥス博物館 (C)Museum Plantin−Moretus/Prentenkabinet,Antwerp−UNESCO World Heritage

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 奇想の系譜はヒエロニムス・ボスが描いた世界が出発点である。類いまれな想像力を駆使して写実的に描き出された見たこともない天国や地獄の様子。人間と獣、昆虫、道具などを組み合わせたボスのモンスターは人気を博し、彼の指導の下、工房でも制作された。流れを引き継いだのはブリューゲルである。農民の生活を描きながら、版画で奇想の世界を展開することでより多くの人々が享受することとなり、「第二のボス」の異名を得た。

◆19世紀末−20世紀初頭 《想像や夢の世界を描く ベルギー象徴派・表現主義》

フェルナン・クノップフ《蒼い翼》 1894年 彩色写真(撮影:アレクサンドル)ベルギー王立図書館

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ジェームズ・アンソール《オルガンに向かうアンソール》 1933年 油彩・キャンヴァス メナード美術館

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 自ら描いた油彩画を写真に撮ってさらに彩色したクノップフの作品。中心を外した人物の配置はまるでスナップ写真のようで、画家はこの写真から油彩画を描いたのではないかという錯覚にとらわれる。攪乱(かくらん)される現実は片翼の眠りの神ヒュプノスの夢なのだろうか。混乱する現実はアンソールの描く世界にも見られる。広場に集った群衆の顔をよく見ると、仮面かどうかわからない人物が散見する。変わりゆく世の中と向き合う画家たちの奇想−。

◆20世紀−現代 《受け継がれている奇想の表現》

ルネ・マグリット《大家族》 1963年 油彩・キャンヴァス 宇都宮美術館 (C)ADAGP,Paris&JASPAR,Tokyo,2017 E2682

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ヤン・ファーブル《フランダースの戦士(絶望の戦士)》 1996年 昆虫、甲冑、金網、木材 国立国際美術館 (C)Jan Fabre/SABAM,Bruxelles&JASPAR,Tokyo,2017 E2682 撮影:福永一夫

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 現代の作家たちは祖国のアイデンティティーを気に掛ける。作品の題名にまで及ぶマグリットの奇想は、空を切り取った巨鳥から感じられる包容力を「大家族」だという。この飛躍した発想はときに意味不明となり、隣人の言葉の意味が分からない多言語国家ベルギーの現状を思わせる。一方、甲虫の死骸を集めて作られたファーブルの弱々しい戦士は、列強に幾度も蹂躙(じゅうりん)されてきた国土を踏みしめる。犠牲になった者の多くの死がこの国を作っているのだ。

◆速水奨さん 音声ガイド

 「超時空要塞マクロス」のマックスをはじめ、「BLEACH」の藍染惣右介などアニメーション、洋画に数多く出演している声優の速水奨(はやみしょう)さんが担当。現在の声優ブームの立役者の一人として最前線で切り開いてきた速水さんが、深淵(しんえん)なる奇想の世界に誘います。有料。

◇会期 15日(土)〜9月24日(日)。18日、8月22日は休館日

◇会場 Bunkamura ザ・ミュージアム JRなど渋谷駅下車

◇開館時間 午前10時〜午後6時(金・土曜日は午後9時まで)。入館は閉館30分前まで

◇入館料 一般1500円、高大生1000円、小中生700円

◇問い合わせ ハローダイヤル=電03(5777)8600

◇主催 東京新聞、Bunkamura

◇後援 ベルギー大使館、ベルギー・フランダース政府観光局、J−WAVE

◇協賛 大日本印刷

◇協力 エールフランス航空/KLMオランダ航空、日本貨物航空

◇学術協力 ベルギー王立図書館

 

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