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【ベルギー奇想の系譜展】

謎解き!奇想ワールド(1)

(c)Jan Fabre / SABAM, Bruxelles & JASPAR, Tokyo, 2017 E2682 

写真

Q.このウサギの顔のような部分は緑色です。何でできているでしょう?

(1)ピーマン

(2)虫

(3)金属

 ◇ ◇ ◇ ◇

<解説>

☆答え (2)虫

ヤン・ファーブル 《フランダースの騎士》(部分) 1996年甲冑、金網、木材国立国際美術館 (C)JanFabre/SABAM,Bruxelles&JASPAR,Tokyo,2017 E2682 撮影:福永一夫

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◆戦争で失った無数の命

 長い耳が伸び、ウサギのように見える生き物ですが、犬の頭を持ち死者を冥界へ導くエジプト神話の神アヌビスにもよく似ています。ただし目や口があるわけではなく、のっぺらぼうのようです。よく見ると、表面がでこぼこしていますね。緑の中に茶色や黄色っぽい色も混じっています。実は、この部分は、固い殻で身を覆われたタマムシなどの甲虫でできているのです。いったい何匹いるのでしょうか。そしてなぜ、虫が使われたのでしょうか。

 作者のヤン・ファーブルは『ファーブル昆虫記』を書いたジャン=アンリ・ファーブルと自分が同じ名前であることを、意味ありげにほのめかしています。生まれ育ったベルギーのアントワープはフランドル地域に属し、そこで十五〜十七世紀に盛んになったフランドル絵画では、昆虫は再生のシンボルとして描かれていました。ファーブルが虫を素材にしたのは、そうした自分のルーツや祖国の伝統と深く関わっています。胴体部分には鎧(よろい)をつけていることから、この無口な戦士は、大国を相手にいくつもの戦いを繰り広げてきたフランドルの守護神とも考えられます。たくさんの虫たちは戦争で消えていった無数の尊い命をあらわし、戦士はその魂を弔っているのかもしれません。

 (林寿美=インディペンデント・キュレーター)

 ◇   ◇ 

 奇想のアート5作品を「謎解き」で紹介します。

■ベルギー奇想の系譜

 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで

◇会期 9月24日(日)まで。8月22日は休館日

◇会場 Bunkamura ザ・ミュージアム JRなど渋谷駅下車

◇開館時間 午前10時〜午後6時(金・土曜日は午後9時まで)。入館は閉館30分前まで

◇入館料 一般1500円、高大生1000円、小中生700円

◇問い合わせ ハローダイヤル=(電)03(5777)8600

 

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