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【ベルギー奇想の系譜展】

謎解き!奇想ワールド(5)

写真

Q.これはある作品の一部分です。何の形をしているでしょうか?

(1)人間

(2)ライオン

(3)溶岩

 ◇ ◇ ◇ ◇

<解説>

 

 ☆答え (1)人間

トマス・ルルイ 《生き残るには脳が足らない》 2009年 ブロンズ ロドルフ・ヤンセン画廊 (C)Studio Thomas Lerooy,Brussels,courtesy rodolphe janssen,Brussels / Photo:Philippe D.Hoeilaart

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◆頭でっかち 自滅の瞬間

 これもまた難しいクイズでしたね。答えは「人間」。逆さになった頭の顎の部分です。

 ライオンのたてがみのように見えるのは、男の人のあご鬚(ひげ)です。

 作品全体を見てみましょう。左側には首から下の身体があり、それと不釣り合いに巨大化した頭がその重さに耐えかねてひっくり返り、地面についています。この人間は身長が一三八センチなのに、体重はなんと約三〇〇キログラム! 頭でっかちなのですが、なぜかタイトルは《生き残るには脳が足らない》です。

 美しいプロポーションを持つ身体は、古代ギリシャ時代から常に理想として掲げられてきました。そして現代においても、痩せたモデルに憧れてダイエットに励んだり、自撮りした画像を一生懸命に加工したりと、自分の身体の現実と理想にとらわれてしまった人々はたくさんいます。さらには、役に立つのかどうかもわからない情報に溢(あふ)れた世界に、私たちは生きています。

 とすれば、この作品は、他人から見れば十分な容姿をしていてもまだ満足できず、さらには無意味な情報ばかりを詰め込んで大きくなった頭で自滅している現代人の姿をとらえていると言えるのかもしれません。作者のトマス・ルルイは一九八一年生まれの三十六歳。ベルギーの現代美術には、こうした皮肉やユーモアが昔からずっと受け継がれているのです。(林寿美=インディペンデント・キュレーター)

■ベルギー奇想の系譜  

 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで

◇会期 9月24日(日)まで

◇会場 Bunkamura ザ・ミュージアム JRなど渋谷駅下車

◇開館時間 午前10時〜午後6時(金・土曜日は午後9時まで)。入館は閉館30分前まで

◇入館料 一般1500円、高大生1000円、小中生700円

◇問い合わせ ハローダイヤル=(電)03(5777)8600

 

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