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【シャガール 三次元の世界】

(1)時を超えた二つの高揚感 《誕生日》《ふたつの頭部と手》

◆東京ステーションギャラリー・冨田章館長

 九月十六日から十二月三日まで「シャガール 三次元の世界」展(東京新聞など主催)が東京ステーションギャラリー(JR東京駅丸の内北口改札前)で開催される。有料。作品の魅力や展示の裏話などを、同ギャラリーの冨田章館長に語ってもらった。

    ◇   ◇

 《誕生日》はシャガール初期の傑作だ。婚約者ベラが、画家の誕生日にアトリエを訪れる。二人の高揚感が、口づけしながら宙に浮かぶ姿ににじみ出ている。一九一四年、シャガールは初めてのパリ生活からロシアに戻るが、これはその翌年の結婚二週間前に起こった出来事を描いた作品である。

 およそ半世紀の後、今度はほぼ同じ構図で大理石の浅浮彫りを制作する。さらにこの絵の一部を切り取ったかのような口づけする男女の頭部像《ふたつの頭部と手》まで制作している。よほど思い入れの深い出来事だったのだろう。

 展覧会のポスターは悩みの種だ。理想的には展覧会のテーマを表す作品を使うべきだが、そうした作品に訴求力があるとは限らない。

 今回のポスターは珍しくすんなりと決まった。この二点を展示室に展示しているように合成したのだ。華やかで訴求力ある作品を使いつつ、絵画と彫刻の関係を探るという展覧会のテーマをも視覚的に表現できた稀有(けう)な例である。

 

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