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【シャガール 三次元の世界】

(5)壺の把手が説教のよう 《青いロバ》 

 シャガールが最初の立体作品である陶芸に取り組んだのは六十三歳の時のことだから、当時の感覚で言えば、老境に差し掛かった頃ということになる。ところがこの老画家は、初めて粘土を触った子供のように、嬉々(きき)としてこの新しいオモチャで遊び、次々と驚くべき造形を生み出していく。

 《青いロバ》は、把手(とって)のついた壺(つぼ)にロバの顔をくっつけただけの作品だが、それだけで腰に両手を当てて子供に説教しているお母さんロバが完成する(個人の感想です)。

 ところで六十三歳と言えば老眼も進む頃だが、展示作品のキャプション(説明文)の字が小さくて読めない、というお叱りをいただくことがある。駆け出しの学芸員だった頃は、そう言われても気にもとめなかった。大きなキャプションはカッコ悪いと思っていたこともあるが、読めない気持ちが理解できていなかったのだ。ところがこの十年ほど、自分の作るキャプションがだんだん大きくなってきたことに気付いた。全く人間とは自分勝手なものである。

 (東京ステーションギャラリー館長・冨田章)

■「シャガール 三次元の世界」展は16日から12月3日まで東京ステーションギャラリーで開催します。開館時間は午前10時〜午後6時(金曜日は午後8時まで)。入館は閉館の30分前まで。休館日は月曜日(ただし18日、10月9日は開館)と19日、10月10日。有料。問い合わせは同ギャラリー=(電)03(3212)2485=へ。

 

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