東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > イベント情報 > 美術一覧 > 「大ダルマ制作200年記念 パフォーマー☆北斎 〜江戸と名古屋を駆ける〜」展 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

「大ダルマ制作200年記念 パフォーマー☆北斎 〜江戸と名古屋を駆ける〜」展

にぎわう筆「パフォーマー☆北斎」展 あす開幕 すみだ北斎美術館

 「大ダルマ制作200年記念 パフォーマー☆北斎〜江戸と名古屋を駆ける」展が、九日から東京・両国のすみだ北斎美術館で開催される。巨大なダルマや極小画を描くパフォーマンスで、江戸と名古屋両都市のにぎわいに貢献した葛飾北斎の制作活動を、『北斎漫画』など約百五十点の作品でたどる。本展のみどころ、出品作品を同美術館主任学芸員の奥田敦子さんに解説してもらった。

◆度肝を抜く破天荒な発想 すみだ北斎美術館主任学芸員・奥田敦子

 一八一七(文化十四)年、浮世絵師・葛飾北斎は、百二十畳大の大ダルマを描くパフォーマンスを名古屋で行った。百二十畳といえば十八×十一メートルというとてつもない大きさで、北斎は筆代わりのワラぼうきを抱え、縦横無尽に走り回って描いたという。老若男女が大勢見物したという記録が残っている。

 また、北斎の規格外の活動は、名古屋だけではなく江戸でも行われた。一例が、十一代将軍徳川家斉の前で、藍を紙に長く引き、やおらニワトリを取り出すと足先に朱をつけ、その上に放ち、足跡を紅葉に見立てて風景画にしたというものだ。

 その他にも、両国の回向院(えこういん)で布袋の巨大画と米粒にスズメ二羽の極小画を描いてみせたり、護国寺でも百二十畳の大ダルマを制作したりと、破天荒なパフォーマーぶりを発揮している。

 こうした北斎の行動(中には伝説も含む)が生まれた背景には、江戸時代の未曽有の見世物ブームがある。江戸や名古屋といった大都市には、珍獣や大型の細工物などを見せる見世物小屋が立ち並び、往来では大道芸も盛んに行われていた。北斎を受け入れる土壌は整っていたが、それでも度肝を抜かれるものだったのだろう。

 今回の展覧会では、北斎の大ダルマ制作、両都市の見世物に関する資料、『北斎漫画』全編を展示するとともに、資料が失われた北斎の江戸での活動も再現した。江戸と名古屋両都市のにぎわいに一役買った北斎の世界をお楽しみいただきたい。

葛飾北斎1817(文化14)年=名古屋市博物館蔵(前期展示)

写真

◆北斎大画即書引札(たいがそくしょひきふだ)

 北斎による大ダルマ制作のいわゆる宣伝ポスターやビラのようなもの。開催場所や日時、ダルマの大きさなどの情報も載っている。名古屋の書店の店頭に掲示された。販売もされており、集客に一役買ったアイテムといえる。

葛飾北斎 刊年未詳=すみだ北斎美術館蔵(後期展示)

写真

◆『北斎漫画』十四編「駱駝(らくだ)」

 1824(文政7)年に両国西広小路で行われたヒトコブラクダの見世物は大評判で、浮世絵や版本に登場するなど大きな社会現象となった。好奇心旺盛な北斎も住まいから近い広小路の見世物小屋に足を運んだのかもしれない。

高力猿猴庵著・画 1817(文化14)年成立、江戸時代後期写=名古屋市博物館蔵(後期展示)

写真

◆『北斎大画即書細図(たいがそくしょさいず)』

 北斎の大ダルマ制作の様子を、尾張藩士で文筆家の猿猴庵(えんこうあん)が、絵入りで詳細に報告した実況記録。前日以前の期待高まる城下の様子から、始まる前の当日の会場の状況、パフォーマンスのスタートから終了まで、密着リポートしている。

葛飾北斎 1820(文政3)年=太田記念美術館蔵(前期展示)

写真

◆麦藁細工(むぎわらざいく)の図

 北斎による麦わら細工の見世物を描いた錦絵。細工の下絵自体を、北斎が手掛けているので、本人企画の見世物をさらに錦絵化したという珍しいパターン。評判を当て込み、また大当たりをとったため、制作されたのだろう。

葛飾北斎 1814(文化11)年=すみだ北斎美術館蔵(前期展示)

写真

◆『北斎漫画』初編

 『北斎漫画』にもさまざまな江戸のパフォーマーたちが登場する。仮面をつけて三味線を弾く紅勘(べにかん)、ジャグリングをする放下師(ほうかし)、三味線を弾く鳥追(とりおい)、冬に水浴びの寒行を行う願人(がんにん)坊主など、江戸の往来をにぎやかした大道芸人が描かれている。

名古屋市博物館蔵(通期展示)

写真

◆『新卑姑射文庫』初編より 獅子の籠細工

 1819〜21(文政2〜4)年に名古屋で興行された見世物の記録『新卑姑射文庫(しんひごやぶんこ)』の挿絵をもとに復元された籠細工。高さ2.2メートル、周囲150センチに及ぶ。江戸時代、大型の細工見世物が江戸や名古屋などの大都市で流行した。

    ◇

■会期 9日(土)〜10月22日(日)。10月3日に展示替え。休館日は月曜日(18日、10月9日は開館)、19日、10月10日。

■会場 すみだ北斎美術館(東京都墨田区亀沢2の7の2)

■開館時間 午前9時30分〜午後5時30分(入館は閉館30分前まで)

■入館料 一般1200円、高校・大学生と65歳以上は900円、中学生400円

■主催 東京新聞、墨田区、すみだ北斎美術館

■問い合わせ ハローダイヤル=(電)03(5777)8600

 

この記事を印刷する