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モネ それからの100年

<睡蓮へのまなざし>(上)福田美蘭さん 新作「睡蓮の池」

クロード・モネ「睡蓮」1914〜17年 油彩・キャンバス 群馬県立近代美術館蔵(群馬県企業局寄託作品)

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 日本で圧倒的な人気を誇る印象派の画家たち。中でも「巨匠」の称号が最も似合うのは、クロード・モネだろう。だがその肩書は、もしかしたら作品鑑賞の幅を狭めているかもしれない。十四日から横浜・みなとみらいの横浜美術館で始まる「モネ それからの100年」は、彼の少し意外な側面に気付かされる企画展だ。印象派という一つの時代を象徴する絵画の枠を超え、現代の美術家を刺激し続ける新しさ。開幕を前に、奥深い魅力を二回にわたって紹介する。

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 「モネの不幸は、印象派の第一人者というレッテルにあったとも思います」。実践女子大学の六人部(むとべ)昭典教授(65)が指摘する。「このため一時は、忘れられかけた作家なのです」

 それは一九二六年、モネが没したころ。集大成となる「睡蓮(すいれん)」の連作などを残したにもかかわらず、世間からいい評価はされなかった。セザンヌやゴッホなどポスト印象派と呼ばれる画家たちに乗り越えられた存在として、あまり顧みられなくなっていたのだ。

 風向きが変わったのは、第二次大戦後だ。米国で花開いた抽象表現主義との関連を中心に、彼の作品から現代美術につながるさまざまな布石が見いだされるようになった。

 たとえば画家の身体の動きをしっかり伝える筆跡。そして実体のない光という題材…。晩年にかけて、絵からは焦点や遠近もなくなり、抽象の領域に近づく。「モネは形を再現するという約束事から絵を解放した。視力の衰えで自然にそうなった面もあるでしょうが、私はそれだけではないと思います」と六人部教授。「印象派を率いただけでなく、現代美術の先駆者でもあったという点は、もっと広く認識されてもいいのでは」

 実際、今も第一線の表現者たちが、彼の投げた「問い」と向き合っている。本展では、初期から晩年のモネの絵画二十五点とともに、後続作家たちの現代美術作品六十六点を並べ、両者のつながりを示す。

モネの作品について語る画家の福田美蘭さん=世田谷区で

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 画家の福田美蘭(みらん)さん(55)は、モネの作品から着想した三点を出す。うち二点は本展のための新作、「睡蓮の池」と「睡蓮の池 朝」の連作だ。

 「睡蓮の池」に描かれているのは、夜景の美しいレストラン。白いテーブルクロスが池に浮かぶスイレンにそっくりだ。よく見ると、室内の光景は窓に映ったものだと分かる。

 「太陽光の微妙な移ろいが、印象派の大きなテーマでしたが、現代の社会で光を意識するのは夕刻からの時間だと思いました」と福田さん。実際に目の前に広がる都会の夜景と、ガラスに反射する像とを画面の中で交錯させた。「モネの絵も、一枚の中で虚像と実像とが混じり合っています」。モネの「睡蓮」を思わせる絵でありながら、夜と昼、自然と人工など主要な要素があべこべになっているのが面白い。「睡蓮の池 朝」は同じ景色の夜明けを想像して描いた。

 福田さんは制作にあたって、モネ作品が展示されている美術館に繰り返し足を運んだ。前に立つと「私の目がモネの目になるようなゆらぎを感じる」と話す。「自分はこう見た、という主観が、画面に表れている。描くとはどういうことか、見るとはどういうことかを、問い掛けているようです」

 文・中村陽子/写真・由木直子

福田美蘭「睡蓮の池」(2018年、作家蔵)

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◆「モネ それからの100年」

 7月14日〜9月24日、横浜市西区みなとみらいの横浜美術館で開催(主催:東京新聞、横浜美術館、テレビ朝日 協賛:トヨタ自動車、三井住友海上火災保険、光村印刷)。8月16日を除く木曜休館。一般1600円(前売り券1400円)、大学・高校生1200円(同1000円)、中学生600円(同400円)、小学生以下無料。前売り券は13日まで販売。チケットは同館、東京新聞販売店(一般前売り券のみ)、展覧会ホームページ(「モネ」「横浜」で検索)、主要プレイガイドで販売。同館へは、みなとみらい線(東急東横線直通)「みなとみらい駅」3番出口から徒歩3分、JRと横浜市営地下鉄「桜木町駅」から「動く歩道」利用、徒歩10分。問い合わせは、ハローダイヤル=電03(5777)8600=へ。

 

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