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がんばれ先生!東京新聞教育賞

第15回(2)心も育つ緑のカーテン 板橋区立高島第五小・菊本るり子こ先生(54)

 夏になると、四階建て校舎の南側をゴーヤーやヘチマの「緑のカーテン」が覆う。つるは四階の天井まで届く。育てる六年生には単なる植物ではない。「ごめんね」「ありがとう」と秋、根元にはさみを入れるまで、カーテンは優しく学校を包む。前任校のころから続ける取り組みだ。

 きっかけは、二〇〇二年の転居。新しいマンションのベランダに、つる性植物を育てて日差しを遮る仕掛けがあり、ほぼエアコンなしで夏を過ごせた。この心地よさを子どもたちに伝えたかった。

 最初の年は大失敗。子どもたちは夏休みも交代で水やりして一生懸命世話したが、うまく育たず、最後は台風で台無しに。それでも「楽しかったよ」と言ってくれ、次の六年生のために失敗の原因をまとめてくれた。翌年は見事に成功する。

 土中のミミズの役割、水の大切さ、熱の伝わり方、収穫したゴーヤーの調理方法を授業で学ぶ。気象キャスターや大学教授から、温暖化や住環境も学習。子どもたちは驚きや発見を画用紙にびっしり書き留める。

 「緑のカーテンは、人に作ってもらっては意味がない」。ある子どもの言葉が忘れられない。クラスの仲間と協力しながら植物に向き合ううち、心を開いて子どもたちも成長していく。「育てる過程にこそ価値があると、しみじみ感じます」。巨大カーテンの実りは大きい。子どもの心と学校に深く根を張る。

 

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