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【地域のチカラ】

私の働き方で町元気に 愛知・豊田 稲武地区

MTB教室に参加した小学生らと記念撮影する遠藤颯さん(右から2人目)=愛知県豊田市の稲武地区で

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 山あいにある愛知県豊田市の稲武(いなぶ)地区が、マウンテンバイク(MTB)を通じた過疎化対策と雇用創出を目指している。「INABU BASE PROJECT」と名付け、中心となる地元企業でのMTBガイド兼業社員第1号として、埼玉県川越市の大学生が初めて新卒で内定した。週休2日制で3日は工場で勤務し、2日はMTB事業に携わる。来年4月のMTBガイド事業のスタートに向け準備が加速している。 (宮崎厚志)

◆「楽しんで働く」

 八月末、中央アルプスを望む標高約千二百メートルの高台の草原に五人の小学生が集まった。豊田市によるイベントの一環で開催された稲武でのマウンテンバイク教室。子どもたちはMTBの扱い方の基本を習い、次々に斜面へとこぎ出していった。サポートするのは、地元の自動車部品製造会社「トヨタケ工業」に来春の入社が内定した遠藤颯(はやて)さん(22)。ガイドとしての初仕事となった。

 東洋大四年で自転車部員。今年三月、ツイッターでプロジェクトを知った。その後の就職活動でIT企業から内々定をもらったが、「自分が楽しんで働くイメージが湧いてこなくて、すごく将来に不安があった」。七月上旬のある日、名古屋行きの夜行バスに乗り込み、プロジェクトが進めるMTBトレイルコースの開拓に参加した。

 自転車が好きというだけで、縁も身寄りもない山村地域でやっていけるのか。抱いていた不安は、プロジェクトメンバーの情熱に触れ、その翌日にトヨタケ工業で就業体験をする中で消えていった。その夜、遠藤さんの人柄を評価した横田幸史朗社長(43)から「稲武で新しいチャレンジをしてみないか」と誘われ、「ぜひよろしくおねがいします」と即答した。

◆人口減止めたい

 プロジェクトでは三月にコースのお披露目ツアーを行い、「予想以上の反響」と横田社長は驚く。遠藤さんに続き、愛知県尾張旭市で自転車店に勤務する土本孝雄さん(28)、稲武出身の日本人女性と結婚して移住したドイツ人のロバート・シュウィッツァーさん(34)も内定。自転車整備のプロや外国人客にも対応できるガイド陣がそろった。

 この十年で二割以上という深刻な人口減少に悩む稲武地区にとって、若い人たちの移住は願ってもない朗報。発展途上のMTBトレイルコースの拡大や、廃校舎の移築活用も視野に入れたMTB基地の整備など、事業スタートに向けやるべきことは山積している。「何を仕事にするにしても責任はつきまとう。働き方改革やトレイル開拓の中で、新しい自分の価値観が形成されていくと思う」と遠藤さんに迷いはない。

<INABU BASE PROJECT> 人口流出に悩む愛知県豊田市北東部にある稲武地区(約2300人)での、トヨタケ工業と同県内の自転車愛好家ら有志による地域活性化プロジェクト。山中にMTB専用トレイルコースを造成してツアー客を呼び込む一方、MTBツアーガイドとして同社で従業員を採用。週に3日は同社で働き、2日はMTBガイド業、2日は休日というライフスタイルを実現させて雇用を創出する。私有地を使用するMTBコースは非公開。

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