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【言わねばならないこと】

(25)戦争国家への道筋 映画作家・大林宣彦氏

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 特定秘密保護法と集団的自衛権は切り離せない。同じ流れだ。すべてが戦争国家に向かうための道筋で、怖くてしょうがない。戦争を知る僕たち「敗戦少年」が本能的に怖いのは、あの戦時中が戻ってきていると感じるからだ。

 占領政策下に子ども時代を過ごした僕たち、寺山修司、阿久悠、立川談志、和田誠…。それまでの大人たちがやったことはすべて戦争につながっていた。僕たちは敗戦後初めて、大人になって平和を作るという役割を担った世代。新しいことをやろうと、寺山が演劇を、僕は映画をやった。

 今の若い人たちに会うと「戦争も、死ぬのも嫌だけど、国のために死んでいくのはかっこいい。自分もそうなったら覚悟を決める」なんて言う。自衛隊が協力して作る映画を見てね。そういうのが一番怖い。戦争を知らない世代が次の戦争を起こす可能性が怖くて、二つの映画を作った。「この空の花」では主にアメリカとの戦争、「野のなななのか」では旧ソ連との戦争を描いた。戦争は恐ろしいと語ってから死のうと思っている。

 秘密があるから穏便に事が運ぶこともある。特に企業、国家は秘密があった方がやりやすい。でも、やりやすい政治は危険だ。国民主権で、国家を縛る憲法を持っている日本だから、政治はやりにくいものであってほしい。

 戦争を知らない現政権の人たちには、軍隊を持って同盟国と共に戦うのが「世界の常識」なのだろう。だが、僕らの子孫が戦場で殺し合いをするのに加担するのは犯罪だ。秘密保護法も戦争を推進する法律の一つ。戦争に向かうものは作ってはいけない。

  ×  ×  ×

 安倍政権が集団的自衛権の行使を認め、海外での武力行使を可能にした。政権が特定秘密保護法を意のままに使えば、国民に根拠を知らせぬまま戦地へ派兵することもできる。秘密保護法に加えて、集団的自衛権についても「いま言わねばならないこと」を識者らに聞き、掲載していく。

<おおばやし・のぶひこ> 1938年生まれ。自主制作映画の先駆者として知られ、CMディレクターや映画作家として活躍。尚美学園大大学院名誉教授。

 

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