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【言わねばならないこと】

(30)戦争 近くなった感じ 講談師・神田香織氏

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 日本は憲法九条のおかげで六十九年間、戦争で人を殺さず、殺されずにきた。集団的自衛権の行使を認めた七月一日の閣議決定は、この九条を骨抜きにした。特定秘密保護法に続いて安倍晋三首相はどこまでやりたいことをやるんだと、怒りを通り越して、あきれてしまう。

 日本が先兵となって米国を守る。すると、日本が憎しみの対象になってしまう。日本にテロ行為を呼び込むようなこと。福島の原発事故で苦しむ子どもたちを放置している政府が、今度は戦争の最前線に若者を送る。安倍首相は「国民の平和を守るため」と言うだけで、集団的自衛権の必要性を国民にきちんと説明できない。

 「講釈師、見てきたようなウソをつき」

 お話を面白く聴いてもらうためオーバーに表現するのが講談の特徴。安倍首相は東京五輪招致で「(福島第一原発の汚染水の)状況はコントロールされている」と言うなど、お株を奪われてしまったようだ。原発や集団的自衛権では首相がウソをついて、講談師が本当のことを言って歩いている。

 一九八六年から「はだしのゲン」を語っているが、当時よりも今の方が戦争にずっと近い感じがする。ウソばかりの大本営発表で、知らないうちに国民の命を危うくした。こんな状況に近づいている。原発事故では肝心な情報を出さず、国民に無用の被ばくをさせたが、秘密保護法は事故を収束したことにしたいからつくったとも思える。

 秘密保護法ではピンとこなかったが、集団的自衛権の行使ではおかしいと感じて声を上げる人が増えてきている。危機感を持ち、発信し続けたい。世の中あきれ果てることばかり。でも、あきれ果てても、あきらめない。

 <かんだ・かおり> 1954年、福島県生まれ。89年真打ち。ジャズや一人芝居の要素を取り入れ、講談の新境地を開く。オリジナルは「チェルノブイリの祈り」など多数。

 

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