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【言わねばならないこと】

(32)命守る政治の対極 兵庫県宝塚市長・中川智子氏

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 地方自治体の首長は、住民の命を守ることが第一の仕事だ。災害でも、交通事故でも、子どものいじめや虐待でも。集団的自衛権の行使容認の閣議決定はその対極にある選択で、国民の意見を聴かずに決めてしまうなんて許せない。だから、私は閣議決定の日に記者会見をして「国民の命を守る政治がなされるべきだ。戦争への道を開く懸念がある」と反対を表明した。

 市民から「なんてことを言うんだ」という怒りの投書は一件だけで、賛成が圧倒的だった。お年寄りは二度と戦争はいやだと、若いお母さんたちは子どもたちの時代が心配だと、悲痛な声を上げている。私も衆院議員をしていたころはそうだったが、中央の政治家は個別の声を意識しにくい。中央と地方の温度差は今、滋賀県知事選など、より市民に近い地方の選挙で表れている。来年春の統一地方選は地方の空気をもっと感じる機会になる。

 集団的自衛権を行使すれば自衛隊員だって、殺し、殺される可能性がある。今までは子どもが自衛隊に入りたいと言っても、親は「自分で選んだことだから入ったら」と言えた。戦地に行くかもしれないとなったら親は苦悩するだろう。

 「気がついたら戦争になっていた」と夫の母がよく言っていた。忘れられないのは三十歳すぎだった私に「新聞の一面を読みなさい」と言ったこと。理由は「いつか再び戦争が始まるかもしれない。だから、母親が社会のことに敏感になって、必死で戦争を止めなければいけない」。

 安倍晋三首相は他人の声は耳に入れず、突っ走っているように見える。だから首相に記者会見で発表したコメントを手紙にして送った。読んでくれるかな。返事を楽しみに待っている。

<なかがわ・ともこ> 1947年生まれ。兵庫県宝塚市長、現在2期目。社民党衆院議員時代は土井たか子党首(故人)の影響を受け「土井チルドレン」と呼ばれた。

 

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