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【言わねばならないこと】

(40)「ずるずる体質」危惧 映画監督・高畑勲氏

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 小学四年のときに戦争が終わり、戦争への反省や今の憲法がどんなに大切かを考えながら生きてきた。そういう意味で戦後民主主義の子の一人。戦後七十年になり、それが危なくなってきていると感じる。

 僕が監督した「火垂(ほた)るの墓」は反戦映画と言われているが、必ずしも反戦とは言えないと思う。戦争末期に日本中の都市が米軍の空襲に遭い、僕も焼け出された。その体験は伝えないといけないが、そればかりだと戦争体験の伝え方としては偏っている。加害体験が抜け落ちているから。戦争を理解するには、日本人の集団心理を含めて歴史を学ばなくてはいけない。

 日本人には「ずるずる体質」と呼びたくなるような気質があると思う。場の空気や相手の気持ちを読むのは得意だが、体制に順応しやすく、深みにはまったときに反対できなくなる。あの戦争の時もそうだった。

 特定秘密保護法も普通の人には関係ないようだけど、深みにはまるとどこに向かうかは分からない。そうなると大衆である我々が反対する力を持てなくなってしまう。今もずるずる体質は変わってないと思う。

 そういうずるずる体質の歯止めとして憲法九条があるのではないか。九条はある意味では国家を存立しにくくするものだが、日本はその枠の中で苦しみながらやってきた。改憲してすっきりさせた途端、その苦しみはなくなり、またずるずると行ってしまうのではないかと危惧している。

 数は少ないかもしれないけど、若い人のなかで特定秘密保護法や集団的自衛権の行使、改憲に反対の声を上げる人たちが出てきている。こうしたことは非常にうれしいし、応援したい気持ちだ。

<たかはた・いさお> 1935年、三重県伊勢市生まれ。アニメーション映画監督。代表作に「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「かぐや姫の物語」など。

 

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