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【言わねばならないこと】

<特別編>民意 届いたのか 「全日本おばちゃん党」 谷口真由美氏

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◆「口うるさい市民」継続

 全日本おばちゃん党は「うちの子もよその子も戦争には出さん!」を掲げて二〇一二年に設立した。その時は、この言葉がこんなに重みを持つとは思わなかった。

 集団的自衛権行使を容認した昨年七月の閣議決定以前から、私は集団的自衛権を「ツレが殴られたから俺も殴りに行く」という「ヤンキーのけんか」に例えてツッコミを入れてきた。安全保障関連法制にも「反対の気持ちはあきらめへんで」と言いたい。

 政府の姿勢や国会審議を見ていると「オッサン政治ここに極まれり」という感じがする。一つは、安倍晋三首相が他人の話を聞く耳を持たないこと。例えば、中東・ホルムズ海峡での機雷掃海は想定していないと自分で認めたのに、安保法制の条文を全く変えようとしない。前提が大きく変わってるのにそのままなのはおかしい。異論に耳を貸さずに「この道しかない」ではアカンでしょ。

 もう一つは、戦争は人が人を殺すというリアリティーが伝わらないこと。「積極的平和主義」と言うなら、シリアから欧州に流入している難民の受け入れなど、やるべきことはある。けんかが強いやつが偉いというのは「ヤンキー文化」の発想だ。

 安保法制は腹が立つことばかりだが、良い側面を挙げれば、国民がおかしなことに対して声を上げることを覚えたことだ。

 SEALDs(シールズ)などが主導しているデモはカラフルでポップ。ラップ調の若者が先頭で叫んで、ベビーカーを押す母親や風船を持った人もいる。若者に触発されて、中年も高齢者も声を上げ始めた。デモや集会で反対の声を上げることは、悪いことでもキモいことでもないという価値観が広がったのは良いことだ。

 安保法制の成立後、デモに参加していた人たちが無力感や虚無感にさいなまれることを心配している。政府は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と思っているはずだが、法律ができたら終わりではない。抗議活動が実らなかった「デモロス」に陥らず、これからも、できることをできる範囲で続けたらいい。

 自分の意見をなかなか言わない日本人が意思表示を始めたことで、日本の民主主義も変わっていくと思う。これを契機に日本人は口うるさい有権者、市民にならないといけない。

<たにぐち・まゆみ> 1975年生まれ。大阪国際大准教授。男性中心の政治を変えようと「全日本おばちゃん党」をフェイスブック上で設立し代表代行。女性議員の増加や地方選挙での投票率向上などを訴える。現在の党員は約5300人。

 

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