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【言わねばならないこと】

(51)違憲の法律従えず 元経済企画庁長官・田中秀征氏

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 私は今回成立したとされる安全保障関連法を法律として認めるつもりはない。憲法違反の法案は国会で可決されたからといって、合憲にはならないからだ。

 もちろん違憲立法は無効だから、政府がそれに基づいて国民や自衛隊に義務を課し、協力を求めても従う人は少なくなる。

 事の始まりは昨年七月の集団的自衛権行使容認の閣議決定だ。ここから集団的自衛権の行使に向かう安保法制の整備、ガイドライン(日米防衛協力の指針)の改定への異様な突進が始まった。

 安倍晋三首相は米議会での演説で、安保法制を「戦後最大の改革」と豪語し、新ガイドラインを「真に歴史的な文書」と自賛した。

 しかし、それならば、なぜ、憲法改正と日米安保条約の再改定という当然の王道を通らなかったのか。

 六〇年安保世代の私は、今回の改革がそれを上回る「戦後最大の改革」であることに異議はない。ならば、なぜ祖父である岸信介元首相のように正々堂々と改革の王道を進まないのか。まるで正門が開いているのに、わざわざ裏門からこそこそ潜入した印象だ。

 われわれは違憲な法律を認めないとともに、昨年の閣議決定を撤回し、この法律を全面的に見直すことを目指さなければならない。

 昨年の総選挙で民主党などは「閣議決定の撤回」を目玉の公約とした。民主党が全滅しなかったのは、この公約によるものだろう。確かに「撤回」は困難だが、不可能ではない。それを期待させる新しい動きも始まっている。

 思いあまって街頭に出た学生など多くの有権者に、あしき流れに待ったをかける底力を感じた。日本の政治を今の政府や国会に任せておいたら、劣化が深まるばかりだろう。

 今回の事態が政治刷新のまたとない機会となれば、災いを転じて福となすことができよう。

 <たなか・しゅうせい> 1940年生まれ。福山大客員教授。元衆院議員で、経済企画庁長官などを歴任。近著に「保守再生の好機」。

 

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