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【言わねばならないこと】

(59)公文書残さず衝撃 英NGO上級法律顧問・デイビッド・バニサー氏

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 他国を武力で守る集団的自衛権の行使を可能にする昨年七月の閣議決定について、憲法との整合性を審査する内閣法制局が内部検討の経緯を記録した議事録などを公文書として残していなかったのは、かなり衝撃的だ。

 これほど基本的な憲法解釈の変更をしたのに議論の記録が公文書に残っていないのは信じられない。英国なら裁判所に持ち込まれて公文書に記録を残さないことは違法だと判断されると思う。民主主義国家の政府がやるべき方法ではない。

 十二月一日から完全施行される特定秘密保護法は、漏らすと厳罰が科せられる特定秘密の定義がほとんど無制限といってもいいほど曖昧で、範囲が広すぎる。何が秘密なのかまったく分からない。国家安全保障に極めて危険がある事柄に絞り、それ以外のものは一般に公開する方向に持っていくことが重要だ。

 秘密法は施行されてしまったが、何ができるか。まず、政府が特定秘密に指定した情報でも開示しないと、国民の利益を損なうものがあるという裁判を起こし、裁判所を通して、この法律が無効かどうかの再検討はできる。

 集団的自衛権の行使のように国家にとって非常に重要なことを決める際、一般の人たちに事実を提示することは不可欠。国家安全保障に関する情報であっても、国民の利益や、不正の摘発につながる情報を公開した人については保護する法律を強化することも必要だ。公務員でも民間人でも、内部告発者を攻撃したり不当に扱ったりした人には、法的な制裁が加えられるよう法改正すべきだ。

 弁護士。表現の自由と情報の自由を擁護する国際NGO「アーティクル19」(本部・英国)の上級法律顧問。欧州評議会、国連開発計画でアドバイザーなどを務める。

 

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