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【言わねばならないこと】

(102)「兵戈無用」人類の悲願 シンガー・ソングライター 僧侶・鈴木君代さん

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 二年一カ月前の九月十九日未明。他国を武力で守ることを可能にした安全保障関連法が成立した。二十日が彼岸の入りで、職場のある京都から離れられず、国会前でデモに参加している友人から電話やメールで様子を聞いて「こんなにたくさんの人が集まって反対しているのに…」と絶望して泣いた。

 翌朝、いつも通り街を歩く人たち。その変わらない風景に違和感を持った。昨日と今日じゃ大違いなんだよ、と言いたくなった。

 十一年前に亡くなった私の先生が繰り返し教えてくださったのは「南無阿弥陀仏を大事に」と「二度と戦争をしてはならない。戦争は人間が人間でなくなるから」の二つ。あれだけ言われていたのに、この十一年で戦争できない国が戦争に向かう国になったのが、すごく悲しくて悲しくて。

 先生が亡くなったときに作ったのが「兵戈(ひょうが)無用」という歌。「大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)」というお経に出てくる大切な言葉をテーマにした。「仏様の教えが行き渡る世界は国が豊かで、民が生き生きと安らかに暮らせる。兵隊も武器も必要ない」。お釈迦(しゃか)様が生きておられた時代から今まで、戦争は永くやんだことはない。日本の戦後七十年は例外的。「兵戈無用」は人類の悲願だ。

 法話ライブで「兵戈無用 兵隊も武器もいらない」と歌うときは、必ず九月十九日のことを話す。

 憲法九条は、日本が先の戦争で多くの人を亡くし、焼け野原になって、涙も出ないような悲しみの中から生まれた「もう二度と戦争はしない」という根本の誓い。守り続けるべき大切な約束だ。戦争で命を落とした人たちに報いるため、今やるべきなのは、その誓いに手を加えるのでなく、九条の悲願を永久に世界に伝え広めていくことです。

<すずき・きみよ> 浄土真宗「真宗大谷派」の本山、東本願寺(京都市)の同派宗務所勤務。全国の寺院を巡り「法話ライブ」を開く。代表曲に「お坊さんに憧れてお寺に入ったの」。

 

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