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【言わねばならないこと】

(105)戦争記憶薄れ 近づく「戦前」 作家・西村京太郎さん

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 私は一九四五年四月、陸軍の幹部将校を育成する東京陸軍幼年学校に入学し、その年の八月、終戦をそこで迎えた。戦場には行かなかったが、学校が空襲に遭い、同期が死ぬなど戦争は体験した。戦争は戦場を体験した人が書けばいいと思ってきたが、年を重ねて次々とこの世を去っている。

 私はミステリーを書いてきたが、自らの体験を踏まえ、なぜ戦争をしてはいけないかという思いを昨年、作品にした。「戦後」が七十二年たち、「戦前」に近づいていないかという不安があるからだ。

 戦争が終わってからしばらくは、日本人は戦争に懲りていた。だが、戦争の記憶が薄れ、若い人たちには戦争が格好良いものに映っているとすら感じる。ドローンを飛ばし合い戦うようなイメージだ。尖閣諸島を巡って日中が戦ったらどうなるかみたいな本もある。先の大戦前、日米を比較する本がやたらと出たことを思うと、危うい気がする。

 安倍政権は安全保障関連法を成立させ、防衛費を増やして高額な武器を次々とそろえている。外国から日本は物騒な国と思われていないだろうか。近くに北朝鮮がいるからと、際限がなくなっているのが怖い。

 万が一、戦争が起きた時、求められるのは先の大戦時のスイスのような中立国だ。和平工作などの舞台として必要となる。

 日本ぐらいの国力があれば本来、その役目はできるはずだ。でも、安倍晋三首相はトランプ米大統領にべったりしすぎている。トランプ氏から自衛隊に危険な活動を求められた場合、断れるのか。首相も血が同盟の証しだと応じたりはしないだろうか。首相は、自衛隊の活動の線引きを明確に示すべきだ。そうしなければ、日本は「米国の盾」としていいように使われてしまうだろう。

<にしむら・きょうたろう> 1930年生まれ。推理作家。代表作に十津川警部シリーズ。45年に東京陸軍幼年学校入学。2017年8月に「十五歳の戦争 陸軍幼年学校『最後の生徒』」(集英社新書)を出版。

 

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