東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 言わねばならないこと > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【言わねばならないこと】

(106)沖縄は「戦利品」ではない 女性史研究家・宮城晴美さん

写真

 米国の女優たちがプロデューサーらをセクハラで訴え、日本でも性犯罪に厳しい目が向けられる中で問いたいのです。性暴力は許さないという怒りは、沖縄で起きている米軍の性犯罪にもつながっていますか。米軍の犯罪は異次元だとみて思考を止めていませんか。

 戦後発行された新聞や証言、公文書などから米軍の性犯罪史を調べています。実は、被害は沖縄戦から連綿と続いている。捜査や裁判で米側を優遇してきた日米地位協定と、性暴力を助長する軍隊の体質とが生み出す構造的犯罪なんです。

 一昨年、うるま市で二十歳の女性が殺された事件でも、加害者の元海兵隊員は「(自分は)罰せられないと思っていた」と弁護人に語っている。地位協定に守られていると思っていたんですね。根っこにあるのは沖縄は戦争で勝ち取った「戦利品」という意識。そこには女も含まれます。

 沖縄の戦後は米軍の支配下で始まり、新憲法も及ばなかった。過酷な沖縄戦を共通体験とし、戦後生まれの私も、祖父母や両親から戦争体験を受け継ぐように生きてきた。県民が辺野古(へのこ)の新基地建設に反対するのは、戦争につながる基地を否定し、平和な島を取り戻したいからです。

 でも、工事を強行する安倍政権は巧妙に県民を分断しようとしています。河野太郎外相は沖縄で県内の若者を米国留学させ、県内の米軍基地でも英語学習を進めると語った。これは宣撫(せんぶ)工作です。政策的に米軍の理解者を増やそうとするのですから。

 本土復帰して半世紀近いのに、沖縄では今も米軍ヘリが落ち、空から落下物が降ってくる。それでも政府は危機感も示さない。沖縄を米軍から切り離さず「戦利品」であり続けさせることが自分の町で起きたらどうなのか、全国の皆さんに想像してほしいのです。

<みやぎ・はるみ> 1949年生まれ。著書に「母の遺(のこ)したもの−沖縄・座間味島『集団自決』の新しい事実」など。琉球大などで講師を務める。

 

この記事を印刷する

PR情報