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【特定秘密保護法】

秘密法、届かぬ監視の目 施行から2年で運用状況は

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 特定秘密保護法は、十日で施行から二年となった。秘密指定の妥当性や文書管理といった運用状況はベールに包まれたままだ。複数ある公的監視機関は必要な情報を得られず、十分な監視ができていない。識者は外部からチェックを受けることに対する政府の意識の欠如や、監視機能の強化の必要性を指摘する。

◆分野不明の例も

 イメージしにくい特定秘密の管理について、専門家らは秘密が記載された「文書」とそれを収める「箱」というたとえを使って説明するケースが多いが、「箱のラベルが分かりにくい」との指摘が絶えない。

 「特定秘密の指定とは、題名のラベルを貼った箱をつくること。そこへ秘密の文書を入れていく」。ある省庁の担当者もこう説明した。文書には具体的な内容が書かれ、画像も含まれる。特定秘密保護法は箱の中にアクセスできる人を制限しており、公的監視機関でも、まずは無数にある箱の題名から中の文書の内容を想像し、調査対象を決めるしかない。

 「現状では、何の箱なのかという推定すら難しい」。特定秘密の運用をチェックする監視機関の一つ、衆院情報監視審査会委員の後藤祐一議員(民進党)は指摘する。

 審査会は三月、二〇一四年に指定した秘密の審査に関する年次報告書を公表。秘密の概要をリスト化した府省庁の「特定秘密指定管理簿」、つまり箱の題名について、記載が抽象的で不十分として改善を求めた。

 外務省の管理簿の概要欄には「北方領土問題の交渉方針」や「東シナ海の資源開発に関する中国政府との交渉内容」など、中身の推定が可能なものがあった一方、「外国の政府から、その国では『秘密を保護する措置が講じられている』として提供された情報」と、分野すら不明な記載も。

 後藤議員は「秘密とはいえ、せめて内容をイメージできる表現にすべきだ」と話す。

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◆開示を拒む政府

 報告書は、首相や官房長官ら国家安全保障会議(NSC)の四大臣会合で議論した結論を特定秘密として開示しないことにも懸念を示した。ある委員は昨年八月の審査会で「(政府は)立法府にどのように説明し、責任を持つのか」と迫ったが、政府は開示に応じない。過度な情報保全が、自衛隊の防衛出動の可否など国会の判断に影響が出ないか危ぶまれている。

 今年八月には独立公文書管理監が、防衛省の秘密指定した箱に文書がなかったと指摘。指定の判断に疑問を示し、各機関が恣意(しい)的に幅広く指定することへの警鐘を鳴らした。

 「府省庁の担当者は、題名が外部の目に触れ、説明すべきものだという認識がないからだ」。政府の「情報保全諮問会議」のメンバーで、法の運用指針策定にも関わった清水勉弁護士は、分かりにくい題名が多い理由をこう説明する。「官僚たちは特定秘密がどれほど関心をもたれているか様子を見ている状況だ。監視機関の体制は十分とは言えないが、情報公開を求めて政府に圧力をかけ続けることで、適正な運用につながっていく」

<特定秘密の公的監視機関> 衆参両院に国会議員で構成する情報監視審査会があり、問題点を年次報告書にまとめ、政府に運用改善を求める勧告権を持つ。政府内には特定秘密を含む資料を政府側に提出させて「実地調査」し、是正を求める権限を持つ独立公文書管理監がいる。現在の管理監は検事出身。事務次官級を集めた内閣保全監視委員会(委員長=金田勝年法相)は秘密の指定や解除の適正さを確保する目的。外部有識者で構成し、首相に意見を述べる情報保全諮問会議(座長=老川祥一読売新聞グループ本社取締役最高顧問)もある。

 

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