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【特定秘密保護法】

<特定秘密の今>(3)「あらかじめ指定」広めに網

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 特定秘密保護法の運用を監視する衆院情報監視審査会が先月公表した年次報告書で注目されたのが、特定秘密に指定された情報を記載した文書が存在しないケース。中でも「あらかじめ指定」が問題視された。

 報告書によると、二〇一五年末時点の特定秘密四百四十三項目の三分の一強に当たる百六十六項目で、その情報を書いた文書がなかった。このうち外務、防衛両省など五機関が指定した特定秘密計十五項目が「あらかじめ指定」。特定秘密に指定するような情報がない段階で、これから発生すると見込んで指定するケースだ。

 指定後、特定秘密に当たる情報が発生して文書になるケースもある。だが、今回の十五項目のように見込みが外れることもある。

 政府は特定秘密法の逐条解説で「現存しないが将来出現することが確実で、完全に特定し得る情報」は特定秘密に指定できると説明。武器の性能試験のデータを例示している。計測値は結果にかかわらず機密性が高い重要情報なので、事前に指定できるという理屈だ。

 半面、今回のケースを見ると、情報が発生する可能性が不確かなまま「指定漏れ」がないように、広めに網をかけておく姿勢も透けて見える。国民の「知る権利」を脅かす秘密指定は本来、極めて限定的でなければならないはずだ。

 審査会は「対象が際限なく広がらないようにする特定秘密法の基本理念から外れた運用」として、情報が得られる可能性が極めて高い場合に限定するよう求めた。政府は結局、十五項目のうち九項目を指定解除。残り六項目は、指定するべき情報が発生したとして文書を作成した。

 一方、注目されるのは、外務省が指定解除した「あらかじめ指定」の名称が「竹島問題に関する交渉等の情報」や「国際テロに関する人的情報収集の情報」だったこと。内容は非公表だった。これらの分野で「特に秘匿が必要な情報」がないとは考えにくく、特定秘密という制度の必要性自体に疑問が浮かぶ。同省は、特定秘密ではないが機密性の高い情報はあったと説明している。 (清水俊介)

 

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