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【特定秘密保護法】

<特定秘密の今>(4)検証不能の記憶指定

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 通常、行政情報は文書や電子媒体に記録されて存在している。ところが衆院の情報監視審査会が先月公表した年次報告書では、政府職員の頭の中にある記憶や知識が、特定秘密保護法に基づく特定秘密に指定されていた実態が示された。

 記憶指定は、「国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあり、特に秘匿が必要な情報」を、文書や電子データのように外から見える形ではなく、記憶として特定秘密に指定していたケース。

 報告書によると、二〇一五年末時点で文書が存在していなかった特定秘密百六十六項目のうち、記憶指定は、防衛省が秘密指定した九項目と公安調査庁の一項目で、計十項目。

 このうち防衛省の「自衛隊防衛及び警備基本計画」など五項目は、一四年末に特定秘密法が施行される以前に文書が廃棄されており、施行に伴って職員の知識だけが秘密指定された。同省は「知識として重要だから秘密指定した」と説明。同省の残り四項目は潜水艦の性能に関する知識など。

 審査会がこれら十項目について是正を求めた結果、秘密指定の解除や文書作成が行われ、記憶指定はゼロとなった。

 ただ、政府は記憶指定を問題とはしていない。特定秘密法は、秘密指定した情報を、文書など見える形にすることまで義務づけていないというのが政府の立場。一五年三月の国会審議で上川陽子法相(当時)は、文書化が原則としながら「法律上、文書にならない特定秘密も否定されていない」と答弁した。

 しかし、頭の中にあるだけの特定秘密は外から見えないため、指定が適切かどうか検証できない。国会審議では野党議員が「(特定秘密の記憶を)忘れてしまうケース、修正してしまう恐れ」があると追及した。

 審査会の報告書も「情報の特定および立証を困難にする」として「重大な疑問がある」と指摘。重大情報を知ってから文書をつくるまでの間など、やむを得ない場合を除いて記憶指定はしないよう求めた。 (我那覇圭)

 

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