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【猪瀬知事辞職】

尖閣寄付 提案の猪瀬都知事退場 塩漬け14億円 置き土産

 辞職を表明した東京都の猪瀬直樹知事の発案で、沖縄・尖閣諸島購入のために都が募った寄付金が、使い道の決まらないまま後任に引き継がれる。その額十四億八百万円。都の担当者は「寄付した人の志を考えると、早く国に託したい」と話すが、日中関係に水を差す恐れもあり、判断は難しい。三代にわたる「負の遺産」になりかねない。

 「私の寄付金が塩漬けになっているなんて。のんべんだらりとしてないで、早く領土を守るために使ってほしい」。日野市の六十代の主婦が憤る。

 昨年四月、石原慎太郎前知事が尖閣諸島の購入構想をぶち上げたのを知り、都に一万円を寄付した。石原氏の名前の入った領収書も郵送されてきた。

 都は昨年九月、船による現地調査も行ったが、直後に野田佳彦政権が魚釣島、北小島、南小島の三島を地権者から二十億五千万円で購入して国有化した。石原氏は寄付金を国に譲渡する方針を示して十月に辞任。全国から都に集まった十万三千件の寄付金は、身動きが取れなくなった。

 「尖閣で問題が起き、いても立ってもいられない気持ちで寄付した。国の責任で施設を造るという話もあったのに…」と主婦は無念そうに話した。

 購入資金を賄う寄付金は、副知事だった猪瀬氏が提案した。知事就任後の三月、議会の承認を得て基金化し、銀行に預けたままとなっている。都には返還要求が百八十件以上寄せられているが、応じていない。

 「二〇二〇年五輪招致で、東京への協力を取り付けたい中国への配慮もあり、動かせなかった」と都幹部。「これからも国への譲渡には政治的な判断を要するだろう」

 一方、都の購入計画に反対してきた元都議の福士敬子(よしこ)さん(74)は「本来は、都がやるべきではなかった。結果として中国との関係も悪化させた。都が購入できない以上、寄付者に返すのが筋だが、連絡先が分からない人もおり、難しい」と石原・猪瀬の両氏を批判する。

 尖閣諸島付近では、今も中国の公船や航空機が接近するなど、緊張が続いている。福士さんは「基金は今後十年、二十年と塩漬けにするより他ないのでは」と話している。 (安藤恭子)

 

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