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【記者たちの戦後経済秘史】

戦争と公害…「空気」が支配 渥美龍太(東京経済部)

四日市公害訴訟で勝訴し、昭和四日市石油の製油所の敷地に入る原告ら=1972年7月、三重県四日市市で

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公害をテーマにした回を担当し、経済秘史という企画の趣旨から「加害者」の企業関係者に取材を試みた。水俣病や四日市ぜんそくに関わった当事者はいずれも口が重く、話してくれる方を探すのに苦労した。たとえ出会えても、「これを教訓にしたい」といった第三者的な建前が先に立ち、当時、何を思って何をしたのか、という「事実」をあまり語りたがらないケースが多かった。

オイルショック、公害、過重労働…いずれも日本経済の歩みに反省を促す重いテーマばかり。取材に応じていただいた方たちが体験の教訓として、「日本は空気に流されてしまう」という趣旨の感想を語っていたのが印象的だった。クウェート大使としてオイルショックの第一報を日本に伝えた石川良孝さんは「深刻な石油不足にはならない」と何度も情報を上げたが、混乱の極みだった日本国内で無視され、トイレットペーパー買い占めなどの大混乱が起きた。石川さんが取材の最後に語ったのが「多くの人が言うウソはホントになってしまう」だった。

公害企業の社員だった成井透さんも自身の戦争体験を踏まえ、戦争も公害も数多くの疑問の声がありながら止まらないことを嘆いた。成井さんは「人間は本当に変われるのだろうか」と自問したが、私も一連の取材を通して同じ思いを抱いた。

 

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