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【記者たちの戦後経済秘史】

戦争動員、悲しき紙芝居 木村留美(東京経済部)

紙芝居「どんぐりの出征」の一場面で、トラックに積み込まれる前のドングリ

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取材で見つけることができた資料の歴史的評価の見定めに苦労した。取材で、燃料油を精製するため、子どもたちにドングリ拾いを奨励した「どんぐり」の紙芝居が仙台市に現存することが分かったものの、出版社などによって戦後ほとんど焼かれてしまい、いつ、どのぐらいの数が出版されたかなど、当時を知る人がほとんどいなかった。

 紙芝居は、著作権や誰が所有しているのかはっきりせず、所蔵していた図書館は新聞への掲載に対して消極的。弁護士に著作権の解説をいただいた上で交渉し、ようやく掲載の承諾を得ることができた。同じような理由で図書館には掲載した紙芝居以外にも公開されないまま、眠っている当時のものがたくさんあるという。とてももったいないことだ。

 紙芝居を使って戦争へと子どもたちを駆り立てていった事実に驚いた。紙芝居には「国の役に立つ」ためには何ができるか、子どもの目線で描かれていました。当時の子どもたちの娯楽である紙芝居を通じて子どもを洗脳していったのだと知った。また、大人にほめられたいという子どもの心を利用し、競わせるようにドングリ集めに子どもたちを参加させ、間接的に戦争に手を染めさせていたことには怒りを感じた。

拾わせたドングリの利用についてはあまり資料が残っていなかったため、実際には集めた大量のドングリを有効利用できていたのか、疑問は残る。国が紙芝居を使って子どもまでを戦争へと誘導していったことは、とても恐ろしい。再び戦争ができる国になりかねない今、教育の現場などで同じことを繰り返さないよう、考える必要があるのではないか。

 

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