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【とちぎ こころの健康便】

ほしがる子どもへの対応 理屈で説明してあげよう

 あれもほしい、これもしたい…。人の欲求は数えればきりがありません。全てを満たすのはもちろん難しいし、自分の主張ばかりする人は、時にわがままにも映ります。中でも、子育て世代にとって、子どもからせがまれたときにどうやって我慢させるか、悩むこともあるのではないでしょうか。わがままを聞くのはよくないと思いつつ、「それで泣きやむのなら」と折れてしまうことも。子どもに我慢させることで、心の成長にはどんな影響があるのでしょうか。効果的な言い聞かせ方も含めて、水島先生に聞きました。

 「あれがほしい」「これがしたい」に対して、単に無視したり叱責(しっせき)したりするのはよくないですね。なぜできないのかを分からせていくのも、親が子どもに伝えられる知恵です。

 一方、「それで泣きやむのなら」と、わがままを聞いてしまう人も多いでしょう。人目のあるところで大泣きされると、「どんな親だと思われるだろう」と不安になってしまうこともあります。「虐待?」と思われるのも不名誉なことですね。

 このテーマの基本的教えは、「人間には確かにほしいものがある。何かをほしがるのは悪いことではない。でも、経済力や地球環境など全体のバランスを考えたときに、我慢しなければならないものもある。あるいは、『これさえ持てれば(できれば)幸せになるはず』という考えの多くが偽物であって、またしばらくたつと『これさえ…』の同じサイクルに入ることが多いので要吟味」というものです。多くの人が、大人になり成長していく中で、身に付けていく姿勢だといえるでしょう。

 ここで「買って」「だめ」の綱引きをしてもほとんど意味がありませんし、子どもはますます逆上してしまうでしょう。「我慢しなさい!」を問答無用に押しつけるのではなく、なぜこれは手に入らないのか、という理屈を説明したら、あとは「ほしいものが手に入らない」という喪失体験として温かく扱ってあげることです。

 誰にとっても楽しみにしていた可能性を失うのはつらいもの。「本当にほしかったんだね。残念だね。買ってあげられれば、と思うよ」「やりたいことが今できなくて悲しいね。本当にかわいそう」などと子どもの側に立って一緒に喪失を嘆くというのも有効な手段です。我慢を抱え込まない人に成長する可能性が増すでしょう。

(精神科医・水島広子)

 

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