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【とちぎ こころの健康便】

マタハラへの対応

 妊娠や出産を理由に、職場などで嫌がらせをされる「マタニティーハラスメント」。厚生労働省が初めて行った実態調査では、派遣社員の五割近くがマタハラの経験があると回答しました。女性が子育てや仕事を両立できる環境づくりを社会全体で目指しているはずなのに、構造的な根深さがうかがえます。「迷惑だ」といった冷たい言動は、相手の心も傷つけます。マタハラはなぜ起きるのでしょうか。また、心無い視線を向けられたとき、どう対応したら良いのでしょうか。水島先生に聞きました。

 妊娠や出産は確実に計画が立てられるものでもないので、突然「実は…」と打ち明けられた上司がパニックに陥ることは分かります。

 妊娠・出産ほど、「理念と現実のギャップ」が大きいものはないでしょう。子どもが生まれるのはおめでたいこと。特に少子化に悩むわが国では、吉報です。

 しかし同時に、「突然の予定変更」が周囲に衝撃を与えることも事実です。

 人としては、新たな生命の誕生を喜んであげたい。でも、そのことによって自分の働き方に大きな負担がかかるのは困る。こういう「ねじれ構造」です。

 人間には、自分を守るための自己防御機能がついています。ですから、「自分の負荷が増す」という衝撃に対して、ネガティブな気持ちを持つのは当然ですし、何とか防ごうとするのも当然の反応です。

 ですから、「産休・育休は当然の権利です」というような姿勢ではなく、いくら法的に守られた権利であっても、きちんと相手を配慮している姿を見せる必要があります。「こんなに忙しいときに産休を取ってごめんなさい」という姿勢は、人間として当然ですね。

 職場は人が働いている場所。自分が休めば他の人に負担がかかるのは当たり前だということを理解して事に当たる必要があります。

 攻撃してくる(ハラスメントをしてくる)というのは、「困っている」という証し。

 マタハラの精神的背景には、「仕事上困る!」というものや、「自分は子どもができないのにずるい」などがあるでしょう。権利を手放す必要はありませんが、そういう人たちを「困っているんだな」と優しい目で見てあげられると良いですね。「自分が嫌がらせを受けている」のではなく、「相手が困っている」話なのです。

(精神科医・水島広子)

 

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