東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 栃木 > とちぎ 心の健康便 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【とちぎ こころの健康便】

近隣トラブルへの対応 「一歩下がった」お願いを

 新年度になり、生活環境が変わった人も多いでしょう。そんなときに気にしてしまう不安の一つは、近隣トラブルかもしれません。子どものはしゃぐ声が騒々しい、ペットの鳴き声で眠れない、たばこの煙で洗濯物が干せない…。例を挙げればきりがありませんが、ささいなことでも険悪な関係になりかねません。常に隣り合う存在だけに、無視することもできず、かといってプライベートに踏み込み過ぎるのも…。生活空間を同じくする相手との付き合い方や、ストレスをためない方法について、水島先生に聞きました。

 これはとても難しい領域だと思います。この時代、時として近隣トラブルが殺人事件にまで発展してしまうこともありますよね。

 日ごろから付き合いがあり、相手がどんな人か知っていれば、「こういう頼み方なら聞いてくれるだろう」と考えられるのでしょうが、このごろは近所付き合いも必ずあるとは限りません。どんなタイプの人なのか知らないままに、生活空間を共有しているとも言えます。

 状況改善のお願いを相手にするのであれば、ぜひ、「一歩下がったお願い」をお勧めします。

 本当は、悪いのは相手だと思っていたとしても、「すみません、私は聴覚過敏症で…」とか「すみません、私はニコチンによる刺激に弱くて、病院でも避けるように言われているんです」といったように、「弱さはこちらにあるので、お願い」というスタイルを取るのが最も安全です。そうしないと、相手を否定してしまうことになり、相手によってはひどいトラブルにつながることもあるでしょう。

 依頼を確かなものにするには、相手が少しでも気遣ってくれた時に、「お気遣い、本当にありがとうございます」と、お礼を言うことが大事です。菓子折りの一つも持っていってよいかもしれません。

 なぜ非常識な人に対してそこまで、と思うかもしれませんが、自分の生活領域からストレスを一つでも減らすことは、とても大きな意義があるからです。自分の方が本来常識的なことを言っている、と分かっていても、「お気遣い、本当にありがとうございます」と言われた相手も嫌な気はしないと思います。よりよい生活環境、という目標を目指せば、まずは戦略からですね。

 それでも相手に何の改善も見られないときは、転居を考える時かもしれません。(精神科医・水島広子)

 

この記事を印刷する

PR情報