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【とちぎ こころの健康便】

「依存」から抜け出すには 「自分」の大切さに気づいて

 スポーツ選手による薬物事件や賭博をめぐる問題は、社会に大きなショックを与えました。それぞれ事情や背景は異なりますが、共通しているのは「依存」というキーワードではないでしょうか。満たされない心をごまかすためだったり、軽い気持ちで手を出したり。でも、気がつけばのめり込み、なかなか断ち切れなくなる。「やめなければと分かっていても、またやりたいと思ってしまう」という言葉も聞かれます。どうして依存は起きるのか。そこから抜け出すにはどうすればいいのか。水島先生に聞きました。

 アルコールや薬物などの依存に至る事情は人それぞれですが、その多くが「現実から逃避したい」という共通性を持っています。

 多大なストレスを抱えているとき。また、典型的なのはトラウマ(心的外傷)体験でしょう。自分には対処しきれないほどの現実に触れてしまったとき、そこから逃避して自分を守ろうとするのです。

 あるいは、慢性的に自信がないという人が、依存物質によって自信がついたように感じることもあります。

 寂しさも、依存の背景として多いです。自分の寂しさに直面しきれず、とにかく依存して、つかの間、心を満たすのです。

 最近ではダイエットをしたい、勉強の集中力を高めたい、などの理由で覚醒剤に手を付ける若い人もいます。

 依存から抜け出すために必要なのは、自分という存在の大切さに気づくこと。依存しても問題が解決するどころか、ますます悪化するということを理解することです。

 実は多くの人が「このままではだめだ」と思っています。それでも「どうしてもやめられない」という人もいますし、「その気になればやめられる」と解決を先送りにしている人もいます。

 いずれにしても、人間には誰しも弱いところがある。それを人に見せることは恥ずかしいことではない。人から支えられる権利も持っている。何かに依存することは、「生き方」ではなく「死に方」だと気づくことです。

 そうは言っても、依存に走る多くの人が、自己肯定感が低いもの。その人たちに「どうしてやめられないのだ」と迫ることは、ますます事態を悪化させます。

 医療によるデトックスで身体を癒やし、自助グループで心を癒やしていくことが、現時点でのお勧めです。 (精神科医・水島広子)

 

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