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【とちぎ こころの健康便】

「負け」から学ぶこと 頑張った自分を認めよう

 高校野球にリオデジャネイロ五輪。今年の夏はスポーツに熱狂した人も多かったのではないでしょうか。選手たちの真剣さに見る者は引き込まれ、心打たれます。ただ、厳しい勝負に勝ち、栄光を手にするのはほんの一握り。その裏では、多くの人たちの悔し涙があります。苦しい練習に耐えてきた努力を考えると、ショックは計り知れません。でも、その後の人生にとって「負け」から学ぶことは少なくないはずです。悔しさを乗り越え、糧とするにはどんな心の切り替えが大切なのでしょうか。水島先生に聞きました。

 人間にはそれぞれ、生まれ持った能力があります。もちろん努力は能力を向上させることが多いです。

 しかし、生まれつき能力に恵まれた人にはどれほど努力してもかなわない、という現実もあるでしょう。

 そんなとき、「あんなに頑張ったのにだめだった」というところばかりに目を向けてしまうと、立ち直れないほど道をそれてしまう人もいます。もう何も努力したくなくなってしまうのです。

 これが、「成果」を中心とした生き方の一つの限界です。誰もが思い通りの成果を上げられるわけではありません。もちろんしばらくの間「何もしたくない」という気持ちになるのはある程度当然のことでしょうが、そこから人はだんだんと立ち直っていきます。

 どのようにすれば立ち直れるかと言うと、まずは当たり前の日常を過ごすこと。特に目標を持つ必要もありません。悔しさを乗り越えようと無理をする必要もありません。単に日々を暮らすことです。また、仲間とのやりとりや家族からの支えもとても重要です。

 すると、挫折体験で全てを失ったかに見えた人生が、「これからも続いていく」という感覚が戻ってきます。そして、一つずつ、自分にできることをやっていこうという気持ちになってくるのです。

 「負け」から学べることとしては、「人生には、自分にはどうしようもないことがある」という学びでしょう。その視点を他人にも生かすことができれば、他者を思いやることもできる、とても豊かな人間になれるのではないでしょうか。

 大切なのは結果(成果)よりも、「それぞれ、持てる範囲の能力内で頑張っているんだな」という認識。それがあれば、悔し涙も癒やされてくるはずです。 (精神科医・水島広子)

 

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