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【とちぎ こころの健康便】

聞き分けが悪い人への対応 批判よりも寄り添おう

 聞き分けが悪い人のことを「分からず屋」などといいます。良い意味では頑固一徹、揺るぎない信念がある人といえるのかもしれません。ただ、それが職場の同僚や同じチームのメンバーにいたとしたらどうでしょうか。周囲がどれだけ的確なアドバイスや指摘をしても、持論を曲げずにぶつけてくる。これでは話もまとまらず、付き合う方にとってはやりにくいだけです。こうしたタイプの人に納得してもらうのは簡単ではありませんが、効果的な言い聞かせ方などはあるのでしょうか。水島先生に聞きました。

 その人が自分のやり方を曲げない、ということには何らかの理由があります。その多くが、やり方を変えることに対する不安であるものです。

 一見すると不安などとは無縁に思える人かもしれません。しかし、不安に基づいていない人であれば、他人の意見を聞くことができるし、それを自分のやり方に取り入れていくこともできます。「持論を曲げずにぶつけてくる」という姿からは、「変わること(変えさせられること)への不安」が感じられます。

 そんな人に対しては、「アドバイスや指摘」という形で変化を強要して脅かすのではなく、まず、「なぜその持論を持つに至ったのか」をよく聞いてみるとよいと思います。すると、過去の失敗に基づいて、あるいは誰かから言われたことが傷になって、不安の中から「持論」にしがみついている姿が見えてくるかもしれません。

 大切なのは「なるほど」と思えるところまで、余計な口出しをせずによく話を聞くことです。「でも」などと言って話を遮ってしまうと、結局はいつものパターンに戻ってしまいます。

 どれほど非現実的な内容であっても、「なるほど、こういう不安があったら確かに頑固にもなるな」ということがふに落ちたら、「なるほど、よく分かった」と受け入れた上で、「その恐れはもっともなものだからチーム全体で話し合おう」としてもよいし、その不安があまりにもかたくなで医療の対象にすらなりそうなものであれば、「では、チームの中で責任を分担して、自分の部分だけそのやり方でやってもらおう」などと、折り合っていくことが可能になるのではないでしょうか。

 否定よりも、寄り添うところから、変化が始まると思います。

 精神科医・水島広子

 

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