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【とちぎ こころの健康便】

「燃え尽き症候群」への対応 自分の感情素直に認めて

 前回は「『負け』から学ぶこと」をテーマにしましたが、今回はその逆とも言えるかもしれません。こつこつ積み重ねた努力が報われたときの達成感ほど、晴れやかな気持ちになることはありません。スポーツに限らず、勉強や仕事にも同じことが言えます。一方、「やりきった」という思いで満たされたり、何かの拍子に虚無感に覆われたりして、新たなやりがいを見つけるのに時間がかかる人もいるようです。「燃え尽き症候群」という言葉も聞かれますが、具体的にどんな状態を言い、対応策はあるのか、水島先生に聞きました。

 目標に向かってまい進することは人を成長させてくれます。そして、それが達成できたときには、心からの満足感と喜びがもたらされることでしょう。

 しかし、それが一点集中型であればあるほど、「やるべきことはやりきった」と意欲を失ったり、それまでの目標がなくなることによる空虚感に襲われたりすることもあります。

 かなり無理をした人の場合は「燃え尽き」という現象も起こってきます。「燃え尽き症候群」というのは、自分が最善と信じ全力を投入してきたことが失望や落胆のうちに終わり、エネルギーを使い果たしたときに起こるもので、心身の疲弊、感情の枯渇、無気力、自己嫌悪、仕事嫌悪、思いやりの消失などの症状を伴います。うつ病に発展することも。

 これらのテーマは、大きく言えば「変化」という視点で捉えることができます。「大きな目標に向けてまい進している役割」から、次の生活に入っていかなければならないためです。

 変化を乗り越える際には大原則があります。

 まずは、自分の感情を素直に認めること。「あれだけ頑張って疲れた」「当分何もやる気がしない」「これからは何を目標にして生きたら良いか分からない」など、いろいろな気持ちがあると思います。それらを否定せずに感じていけば、だんだんと気持ちが癒えてくるものです。そして、「さて、何かを始めよう」という気持ちもまた育ってきます。

 その際に大切なのは、それを打ち明けられる人の存在。アドバイスを押しつけることもなく「そりゃあ、あれだけ努力していたんだから」と温かく受け止めて、愚痴を聞いてくれる人の存在は大きいです。変化を支えるのは自らの感情の肯定と、人からの支え。それがポイントだと思います。

精神科医・水島広子

 

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