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【とちぎ こころの健康便】

「こだわり」に縛られない策は 「完璧」は無理だと認めよう

 日々の生活で、誰しもこだわりはあると思います。洗濯の順番や、ごみの捨て方といった細かな点から生き方に関わるものまで、千差万別です。完璧主義とも言えるかもしれませんが、「こうしないと気が済まない」「人に手伝ってもらわず、全て自分でやりたい」という姿勢は、自身を縛ることにもなりかねません。「こんな性格でなければ楽なのに」と思っている人も意外に多いはずです。人はなぜ、こだわりを持つのでしょう。そして、自らのこだわりに苦しめられないための策はあるのか。水島先生に聞きました。

 「こだわり」には、二種類あると思います。

 一つは、「自分の人生をよりよくするために」という、主体的な「したい」という「こだわり」。自分の人生の質を損ねないために押さえておきたいポイント、とでも言うのでしょうか。このタイプの「こだわり」は、現実的な妥協をすることが可能です。無農薬の食べ物にこだわっていても、忙しければ手に入るもので済ませる、というくらいの妥協ができるのです。

 一方、多くの方が悩んでいる「こだわり」は、簡単な妥協などできず、自分を縛るものです。「気が済まない」という感じ方は、既に、自分の心のあり方が自分のコントロールを離れている証拠です。

 人は、なぜ、そんなに苦しい「こだわり」を持つのでしょうか。個人差もあるのですが、おおむね「そうしないと不安だから」という点が共通すると思います。

 つまり、自分の不安を埋めるためにこだわるのです。「不安を埋めるために」が動機ですから、「こだわり行動」をしなければ不安が強くなってしまいます。

 「完璧主義」は「こだわり行動」との関係が深いものです。「完璧」という概念に比べて、「まだここも足りない。どうしよう」ととらわれてしまうと、不安を埋めるためにより「完璧」を目指すことになるからです。

 「こだわり」に苦しめられないためには、「完璧なんて、人間には無理」という限界を認めるのも一つです。

 また、同じ「こだわる」のでも、不安に関連した「べき」の発想から、「こだわりたい」という「したい」の発想に転換するだけでも、ずいぶん楽になると思います。「したい」に転換できないことは、自分の人生から手放してもよいものなのかもしれません。ご検討ください。

精神科医・水島 広子

 

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