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【とちぎ こころの健康便】

「察しが悪い」と指摘されたら 「悪気ない」率直に伝えて

 新年度が始まり、新たな環境に身を置いている人は多いでしょう。そこで円滑な人間関係を築きたいと思うのは自然ですよね。しばしば「空気を読む」ことの大切さが言われます。その場にふさわしい言動にたった一つの正解はありませんから、本人にその気はなくても「あなたは察しが悪い」と周囲から指摘され、思い悩む人もいるようです。神経質になって人付き合いを避けていては、新しい環境を楽しめません。どのように対処したら良いでしょうか。水島先生に聞きました。

 「察しが良いかどうか」というのは、実はかなりの程度、先天的に決まっているものです。

 「発達障害」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。発達障害の中でも、特に、「自閉症圏の発達障害(ASD)」の人たちは、空気を読むことがとても苦手です。「人はこういう状況ではこう思うだろう」とか、「建前ではこう言っているけれども本音は違う」とか、そういう心の機微を読むことが苦手なのです。

 発達障害というのは、社会生活に支障を来すほどの状態を言いますが、それほどではなくても同様の傾向を持った人たちは「非定型発達」と分類されます。

 「非定型発達」でなければ(いわゆる「定型発達」。人の心を読んだり、建前と本音の区別を当たり前に了解したりする人たち)、人生経験の中で「読む力」を身につけていきます。いろいろな失敗体験の中で、応用力を身につけていくのです。

 しかし、ある程度の年齢になっても「空気が読めない」と言われるのであれば、自分が「非定型発達」である可能性も考えた方が良いでしょう。

 その場合の目標は、「察しが良い人」になることではありません。自分は「察することができない」と認めて、助けを求めることです。空気が読めずに場違いなことを言ってしまう場合に止めてくれる友人、建前と本音の区別を教えてくれる友人をつくれれば、何よりでしょう。もちろん、家族からも助けてもらえると思います。苦手なことは、得意な人に助けてもらうこと。それが何よりだと思います。

 もちろん、「私は空気が読めない性質なので」と率直に伝えて、相手の意向を聞くことも有効です。悪気がないということさえ伝われば、人間関係は好転するものです。 (精神科医・水島広子)

 

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