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【とちぎ こころの健康便】

天才は英才教育のたまもの? どんな時も子ども第一に

 中学三年のプロ棋士、藤井聡太四段が脚光を浴びました。先輩棋士を相手に連勝街道を走り、「天才」とも呼ばれました。「どうしたら藤井君のような子が育つのか」と思い巡らせた親は少なくないのではないでしょうか。若くして活躍する少年少女はスポーツ界など各界で誕生しています。天才は、やはり英才教育のたまものなのでしょうか。わが子の可能性を広げるために、親としてどう導いてあげたら良いでしょうか。二人の母親でもある水島先生に聞きました。

 私は、英才教育を受けてきたけれども現実の壁にぶつかって進路変更せざるを得なくなり、心の病になった若い人たちを多く診ています。

 能力に恵まれた子どもが、その分野に興味を持ち、どんどん能力を伸ばして、いわゆる「天才」と呼ばれるようになるのはすばらしいことだと思います。しかし、そういう人たちを細かく見ると、生来の才能はもちろん、本人の興味や前向きな姿勢、家族全体の文化など、いろいろな要因があるものです。

 ある家で、自分の子どもを「英才教育しよう!」と親が決めても、その子の先天的な能力、好奇心や気力、家庭の文化など、いろいろなことがマッチしていなければ、望む結果は得られないでしょう。子どもは「どうしてほかの子みたいに遊べないのだろう?」と(無意識であっても)不満を持っていることも多いものですし、逆に、「頑張らなければ親に見捨てられる」という恐怖を抱えている子どもも多いものです。

 みんなが「天才」として生きていけない現実から考えれば、「どんなときも、当事者である子ども中心に」ということはお願いしたいと思います。

 子どもが何かに秀でている。そのことに興味を持ち、あるいは師と呼べる人からモチベーションを高められ、熱心に取り組む。そんな時期は人生にあってよいし、うまく花咲いてもよいと思うのです。そのために親が協力するのもよいと思います。

 でも、子どもが現実の壁にぶつかったときには、ぜひ、「人生いろいろだよね」と、「普通の青春」を送らせてあげてください。何かに一生懸命取り組んだ過去は、決して無駄にはなりません。(精神科医・水島広子)

 

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