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【とちぎ こころの健康便】

愛着の対象 人それぞれ すぐに「ロス」になる友人

 大切なものを失った喪失感に悩まされる「○○ロス」という言葉を耳にすることが増えました。「ペットロス」がすぐに浮かびますが、最近は連続テレビドラマの放送終了後などにも軽い意味合いで使われるようです。周囲に、すぐに「ロス」になる友人がいます。ドラマの終了後から、ファンだった芸能人の結婚、熱中してきたテレビゲームをクリアした後まで、しばらく無気力になってしまいます。価値観は人それぞれですが、大人なのだから、いちいち心を乱されるのはみっともない気がします。気落ちする友人にどう接したら良いでしょうか。水島先生に聞きました。

 「ロス」という現象は、自分が大切にしていたものの喪失に伴って起こる現象です。

 何かへの愛着(心の結びつき)が強い人ほど、「ロス」を感じるのだと思います。

 もちろん、大人として現実的に考えれば、終わってしまったものはそこまで、ですから、いつまでも「ロス」にとらわれる人はみっともない気がするでしょう。

 「価値観は人それぞれですが」というところがまさにそれを語っているのですが、愛着の強弱、またそれが向けられる対象は、本当に人それぞれです。ですから、「大人としてみっともない」という評価を下す前に、「こういうものとのつながりが大切な人だったんだな」という目で見てあげたらどうでしょうか。

 ドラマやテレビゲームなどは、あまり関心のない人にとっては実に「くだらないもの」だと思いますが、それを生きがいにしている人にとってはとても重要なものなのです。違和感はあるとしても、「ああ、それほど大切だったんだな」と思ってあげることができれば、見える世界が違ってくるでしょう。

 人間は生き物ですから、自分の存在を脅かすものには抵抗したり防御したりするもの。「リアルでないことなんだから、気にしても意味がない」というようなことを言うと、相手をかたくなにさせてしまったり、「何もわかっていない」などと反撃されたりする可能性があります。

 気落ちしている人に対しては、「そんなに大切だったんだ」と共感的な姿勢で接して、否定しないことが、相手との関係性を守ると同時に相手の癒やしにもつながります。多くが、自分ほどリアル社会で恵まれていない、というケースだと思います。むしろ「気の毒だな」という気持ちを持つのがよいと思います。(精神科医・水島広子)

 

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