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【とちぎ こころの健康便】

パワハラにならない指導とは 感情的、人格否定は厳禁

 職務上の優位性を背景に、部下らに度を超えた苦痛を与えるパワーハラスメントが問題となっています。社会的意識が高まる中で、各組織はこれまで以上に対応を求められていますが、それでも根絶できない一因に「指導や激励との線引きが難しい」ことが、ときに挙げられます。だからと言って「事なかれ主義」に走り、管理職が部下を育てる責任を放棄しては、その組織に未来はないでしょう。指導や激励をする際には、言動や態度にどのように気をつけたら良いでしょうか。水島先生に聞きました。

 パワハラと指導の違いは、虐待としつけの違いにも似ていると思います。

 虐待としつけの違いは、「主役がどちらか」です。子どもの中にしっかりとした軸をつくろうとして子どもの様子を見ながら指導することがしつけ。親が自分の機嫌次第で子どもに当たるのが虐待です。

 これを、職務上のことに当てはめてみると、とてもわかりやすいです。上司の不機嫌をぶつけて部下を傷つけたり追い込んだりするのがパワハラです。

 そして、適切な指導とは、部下の様子を見ながら、「ここまではできている。次はこれを課題にしよう」などと考えながら行われるものです。もちろん、精神的な様子も気にかけておきましょう。注意をした後には感想を聞いたり、「期待しているから厳しい言い方になるんだよ」などと励ましたりすれば、よいサポートになるでしょう。

 また、人に指導をする際に案外重要なのが、「人格と行動を区別する」ことです。

 「毎日遅刻しているね。あと十分早く起きなさい」は、指導でしょう。一方、「おまえはとにかくだらしない」と言ってしまうと、人格否定になってしまいます。パワハラと呼ばれるもののほとんどが、こうした人格否定的要素を含んでいるものです。

 育つ部下を中心に考えるにしろ、人格否定的な物言いをやめるにしろ、結局は上司の感情のコントロールがテーマであるとも言えます。しかし、上司といえども人間。機嫌の悪い日もあれば、忙しくてパニックになっているときもあるでしょう。そんなときに自分の感情を部下にぶつけてしまったら、後できちんと謝ればよいと思います。

 潔く謝る姿勢に、部下はバカにするどころか、敬意を抱くと思います。(精神科医・水島広子)

 

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