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【とちぎ こころの健康便】

「完璧主義」との付き合い方 「今、できるだけ」でいいよ

 高い目標や理想を掲げ、完璧を目指して全力投球する姿勢は、何かを成し遂げるには大切でしょう。その一方で、「完璧でなければ全て失敗」と極端な思考に陥ったり、他人にも完璧を求めてあつれきを生んでしまったりと、「完璧主義」が行き過ぎてしまうと、かえって悪い結果を招きかねません。楽ばかりして成功を望むのは論外ですが、うまくバランスを取りながら目標に向かって頑張るには、どうしたら良いでしょうか。水島先生に聞きました。

 何かに熱中して完璧を目指すのは、人間として当然の姿ですね。

 しかし、私は「完璧主義」ではなく、「できるだけ完璧主義」を提唱しています。

 「完璧主義」は、ある意味では、「引き算」の発想。「完璧」なものがあって、それに比べるとまだここもできていない、あそこもできていない、という感覚です。

 この状態に陥ると、自分にとっても苦しくなるし、周りの人を不適切に巻き込むことになりかねません。

 最悪の場合、何のアウトプットもできないほど。新人賞を取った作家などが、「二作目の苦悩」を味わうことは、よく知られていますね。「今回も完璧にしなければ」と思うと、結果として何もできない、ということにもなりかねないのです。

 私が提唱する「できるだけ完璧主義」とは、むしろ「足し算」の発想です。

 人が、今日ここまでしかできないのは、いろいろな事情の結果。事情には、先天的なものや、今まで置かれてきた環境、経験した出来事など、さまざまなことが含まれます。

 そういう自分に、「今は、これでよい」と言ってあげてください。自分が抱える事情の中で全力を尽くした結果が、現状だからです。

 全力を尽くしたなんて、今日の怠けた自分にはとても考えられない、と思う人もいるでしょう。

 でも、今日怠けた(仕事をしなかった)自分には、それなりの事情があるのです。疲れ、焦りやプレッシャーなど、いろいろなことがあったでしょう。

 そんな自分を認めて、「今は、これでよい」と言ってあげると、自分へのダメ出しが減り、「明日、もうちょっとがんばってみようか」につながります。それこそ、「完璧」への道と言えるでしょう。(精神科医・水島広子)

 

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